vol.09
今回は舞台美術/ステージプランナーのご紹介。 舞台美術/ステージプランナーとは、コンサートステージの全体像を イチから作り出す仕事だ。パソコン上で設計図を書くところから、 実際に現場で体を動かして作るところまで、ステージの全体を把握する。 業界の大ベテランでもある井口さんに、その仕事の魅力をうかがった。
第9回 ゲスト / 井口雅博さん
(有限会社クリエイション)
1968年生まれ。宮城県出身。電飾会社に就職後、1990年に有限会社クリエイションに入社。X JAPAN、LUNA SEA、坂本龍一などのステージプラニングを手掛け、現在はL’Arc〜en〜Ciel、シド、MUCC、LiSAなどを手掛ける。
text:野中ミサキ(NaNo. works)
新しいことをやろうとすれば難しい、 でも新しいことをやるほど面白くなる。
現場に入って仕事をしてこそ 楽しみを見いだせる
まずは、井口さんのご経歴を教えてください。現在の仕事についたきっかけは?
最初から舞台美術の仕事をやりたいと決めていたわけではないんですけど、コンサート業界には10代の頃から興味があったし、子供のときからものを作るのが好きで音楽も好きだったので、それがうまくこの仕事にハマって今に至るという感じです。
得意なことで好きな音楽に携わろうと。
ただ、そういった専門学校に行きたくても地元にはなかったんです。なので、高校を卒業して1年間くらいはガテン系の仕事をやっていました。その後、東京の電飾会社で働くことになったんですけど、当時は昭和の終わりで世相的にも仕事がまばらな時期で。会社自体の具合も良くなくて、半年くらいでやめることになっちゃったんです。そこからまたガテン系の仕事をやって、22才になる年に今の会社に入社しました。当時は90年代のド頭で、バンドブームだったし、うちの会社はわりとそっち系の仕事が多かったんです。
入社当時は、どんな仕事を担当していましたか?
最初は大道具の手数として、あんまり物事をあーだこーだ考える余裕もなく毎日現場に行くようなことが続いていましたね。まあ、もともと体を動かすのは嫌いじゃなかったので、別に苦に思うこともなく。それとやっぱりなんだかんだいってこの業界って、現場に入ってやらないと面白くないと思うんですよ。現場に入ってガツガツ仕事をしてこそ楽しみを見いだせるというか。
井口さんは、どのくらいで楽しさを見いだせましたか?
はじめから楽しかったですよ。電飾の会社にいるときも現場に行けば楽しかったです。それは気質もあるのかもしれないけど、一般の仕事をしている人たちからすれば異世界じゃないですか。若い頃は“こんな特別なところで仕事ができるんだ!”って意識がありつつ、音楽が好きだし、ものを作るのが好きだしで、楽しかったですね。
単純に面白いコンサートを 作るのが楽しいんですよ
難しい、厳しいと感じたことは?
そんなのいくらでもありますけど(笑)。技術的なことでいうと、新しいことをやろうとすれば難しいですし。でも逆に、人が見たことのないものを見せようっていう仕事なんで、新しいことをやるほど面白くなるんです。それまでにはつらいと思うこともあるけど、終わってしまえば笑い話になるし、仕事は実積として残るので。
舞台美術やステージプランナーのお仕事プロセスを教えてください。
基本的には発注を受けて、「こういう方法でいきたい」という先方の希望と条件をふまえてイメージをふくらませて、それを提案する。それを何回か繰り返す場合もあるし、GOサインが出れば制作にあたって現場に行くという流れです。
先方の希望と条件というのは、予算しかり、空間イメージ的なこともですか?
そうですね。ここは本当に様々で、「まったく浮かばないんです」というケースもあれば、「これが新曲です、聴いてください」と言われるケースもあります。もちろんイメージソースが音楽であることが一番だろうけど、そればかりではないし、それ以前にアーティストが具体的なビジョンを持っている場合があるので。その希望をふまえて作ることはあります。
組み上げたイメージは、どういった形でクライアントに提案するのでしょう?
まずは、パース(客席から見たステージの全体図)を提出します。そこでOKが出ればもっと細かい図面を描いて、セットを制作する必要があれば工場に手配して、現場の人に指示をして――。
……井口さんのお仕事は、どこからどこまでですか?
全部です(笑)。大きい会社とかだと仕事内容が分業になっているところもありますけど、うちは小さな会社なので自社で一貫して全部やっちゃうんです。今だと工場に頼む仕事も昔は自分でやっていたこともありました。全部やるのはもちろん大変ですけど、全体を見られたほうが楽しいですよ。
全工程に関わるからこそ、思い入れもひとしおでしょうね。一番グッとくるのはどんな瞬間ですか?
やっぱり本番ですね。いろんな分野のプロがひとつの目標を見て、みんなで作っていく。それがシンクロしたときに一番いいものができる。それは間違いないと思います。ただ、満足だけが残る100点だったっていう仕事はまだないです。
アーティストのライブであると同時に、視点を変えれば井口さんの表現の場とも言えるのではないでしょうか?
それは、あると思います。舞台は、総合芸術だとは思うんです。けど、お客さんはアーティストを観るためにチケットを買うし、こちらはアーティストではなくクリエイターなので、裏方のエゴが入っちゃうのは良くないと思います。単純に面白いコンサートを作るのが楽しいんですよ、みんな。
音楽に興味がなくてもできる。 ただ、体を動かすのが好きな人がいい。
自分たちで作ったものを何千、 何万人の人たちが見て感動する
この仕事には、どんな人が向いているでしょうか?
言っちゃえば音楽に興味がなくてもできると思います。ただ、現場に向いている人と向いていない人はいるかもしれないです。体を動かすのが好きな人のほうがいいでしょうし、日本は制作期間が非常に短いので決まった時間のなかで声を出して確認しながら的確にやらないといけない。もちろん本番で失敗しちゃうのはNGですけど、それまでは危険なこと以外、失敗してもいい時間はあるので。
舞台美術に携わると、どんな楽しいことが待っていますか?
自分たちで考えて汗をかいて作ったものを何千人、何万人の人たちが見て感動するわけですから。こんな楽しいことはないと思っていますよ。最近は本当に最新技術というか新しい機材中心で物事を考えるようになってきたので、もっとマンパワーでやれることがあればいいなと思いますけどね。とりあえず来て、見てくれればいいなって思います。自分に合っているのかどうかはやってみないとわからないから。
実際に働いてみたい人への窓口は?
クリエイションでも募集はしていますし、会社に来てもらってこういうことがしたいっていう希望があれば、できるだけ仕事をさせてあげられればいいなとは考えています。根性論はあまり語りたくないですけど、若い人はとにかくこき使われます。それでも残っていればがんばれるだろうし、楽しめるのが一番。音楽業界にもいろんな仕事があるし、現場でしか学べないこともあるので、まずは行動してみるといいと思います。
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