黒子としてのエクスタシーというか、 そういうのを積み重ねていきたいですね。
メディア側からは見えないことに タッチできることにワクワクした
もともと『ROCKIN’ON JAPAN』の編集部にいたんですよね?
僕が入社したのは15年前なんですけど、最初は『SIGHT』の部署に3年くらい、そのあと『(ROCKIN’ON)JAPAN』に移って7年ぐらいいて、そこから今のマネージメントのセクションに異動しました。もともと、大学卒業後は電気メーカーに就職しまして。そこの人事部に配属されて1年半働いたんですけど、やっぱり自分がイメージしている仕事とはかけ離れていたので、思いきって転職しようと。実は新卒のときにロッキング・オンを受けたんです。そのときは最終面接までいって、落ちたんですよね。真っ先にもう一回トライしてみようと思って、2度目の試験で受かりました。
すごい経歴です(笑)。そして編集を10年経験したのち、マネージャーに。
なので、雑誌の頃につながっていたマネージャーさんにも驚かれました。「昔偉そうにしててすみません、いろいろ教えてください」みたいな(笑)。個人的にも、やってみたい気持ちはすごくあったんです。雑誌を通していろんなアーティストにインタビューしたり、それこそいろんなマネージャーの方とかレーベルの方と話していくなかで、すごくやりがいのある仕事なんだろうなと思っていたので。メディア側からはどうしても見えないことってすごくあって、そこにマネージメントという仕事でタッチできることに対して、すごくワクワクしましたね。
実際にマネージャーになって気づいたことというと何でした?
いろいろありますけど、それこそ雑誌の編集をやっていると、マネージャーさんとかがプロモーションに来て、たとえば、今新人やっていて、ここまでにクアトロ行って、その次リキッドルームに行ってみたいなプレゼンをしてくる。そのころは漠然と、ただの情報としてしか聞いてなかったことが、クアトロを埋めるのってこんな大変なんだ!っていうのは、すごく感じましたね。
99%マネージャーの手柄でも アーティストの手柄にすべき
マネージャーとして、今どんなこだわりを持ってお仕事をされていますか?
いろんなタイプのマネージャーさんがいると思うんですけど、僕は黒子に徹して仕事をしていくべきなのかなと思っています。ほかのバンドのマネージャーさんと話したときもそういう話になって。仮に99%マネージャーの手柄で結果が出たとしても、それはアーティストの手柄にしなきゃいけないというか。あとは、いろんな意味で何かと何かをつなぐ仕事なのかなというのはすごく思いますね。アーティストとリスナーをつないだり、ほかの才能あるクリエイターとつないだり、そういうのはマネージャーの大事な仕事なのかなと思います。
今までマネージャーをやってきて、これは良かったなと思うことは
さっきの“つなぐ”じゃないですけど、ミュージックビデオを作ろうってなったときに、お笑い芸人の和牛さんに出ていただいたんです。
2017年の「ござる」のMVですね。
はい。和牛さんの単独ライブでめ組の曲が出囃子で使われているのをファンの子のTwitterで知って。これを活かせないかなと思って、吉本さんとかいろんなところにお願いして“ぜひやりましょう”となって。それでリリースして結果も出せたんですけど、その後も和牛さんと菅原(vo)がいい形でつながっているのがすごくうれしかったですね。ジャンルは違えど本当にプロフェッショナルな方たちなので、和牛さんの仕事に対するスタンスに菅原もすごく刺激を受けたりもしていて。いろんな意味で、つなぐことができて本当に良かったと思っています。
ほかに気をつけていることは?
これは違うっていうことほどちゃんと言わなきゃいけないなというのは心掛けてます。やっぱり褒めたりすることって結構楽なことというか。僕も根はそういうタイプで、もともとミュージシャンとかアーティストに対するリスペクトが強いので、叱ったりとか、こうじゃないって言うのってエネルギーをすごく使うし、得意ではないんです。だけど、マネージャーが一番そこをやらなきゃいけない気がするんですね、特に新人とか若いアーティストに関しては。なので、多少嫌われ役を買ってでも、言わなきゃいけない局面では躊躇しないで言おうと思っています。昔はインタビューっていう場でたまにぶつかる瞬間はあったんですけど(笑)、マネージメントしてると、そのぶつかる頻度が、もう細かいことから大きなことまでたくさんあるので。そこは本当に、その都度その都度ちゃんとコミュニケーションしないとな、っていうのはありますね。
アーティストの価値を高めるのは マネージャーの力量次第
マネージャーとは何か、今まで5年弱やってきて、そこはどう考えています?
これはいろんな人が言ってることかもしれないですけど、やっぱりどうやったらアーティストのバリューを上げていけるんだろうっていうのを日々考えてますよね。音楽という目に見えるようで見えないものとか、アーティストというものの価値を、どう高めることができるのか。そこはマネージャーの力量にかかっているなっていうのはすごく思いますね。
しかも、編集者は雑誌の視点で考えればいいのに、マネージャーはそれを全方位から考えないといけないわけですよね。
そうですよね。それで思い出したんですけど、雑誌で写真で撮るときって、やっぱり雑誌的にどうカッコ良く見えるかとか面白く見えるかっていうことをカメラマンと考えながらやっていくんですけど、アーティスト写真を撮るときってまた全然違って。
宣材写真は、雑誌の写真とは違う。
全然違いますね。このアーティストのことをまったく知らない人にどう見せるかを考えたときに、写真はブレちゃいけないし、当然ですけど顔はしっかり見せなきゃいけない。そのうえでインパクトを与えるためにどうするかを考えなきゃいけないとか。写真ひとつとってもこんなに違うんだなっていうのはすごく思いましたね。
“め組といえばこの曲!”という 名刺代わりの1曲を作りたい
これからマネージャーとしてどうなっていきたいと思っていますか?
まずは、今やっているめ組が5年後も10年後もしっかり音楽をやっていけるような基盤を作っていくのが直近の目標ですね。もちろんこういうハコでやっていきたいとか、具体的な目標はあるんですけど、それよりもやっぱり、“め組といえばこの曲!”という名刺代わりの1曲というのを作らせたいし、作りたいと思っています。菅原にはその資格があると思うので、そこは信じきってますけどね。これは僕だけじゃなくて、会社のスタッフ全員が感じていることなんですけど、とにかく曲を作る才能、メロディを作る才能が抜群に素晴らしいので。
これからもずっとマネージャーをやっていきたいですか?
もちろん気持ちとしては強くあります。そして最終的には、黒子としてのエクスタシーというか、そういうのをどんどん積み重ねていきたいですね。
PCはWindowsを使用。スケジュールは紙をベースに、スケジュール帳で管理している。小物が入ったポーチにはアーティストグッズのキーホルターを装着。イヤホンは、いつでも音源を聴けるように常時携帯。
1. PC(Win) 5. wi-fi
2. スケジュール帳 6. 名刺入れ
3. 新作白盤+紙資料 7. イヤホン
4. ポーチ 8. スマートフォン
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