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現場マネージャー物語

2019年05月24日 (金) 現場マネージャー物語

#130 Official髭男dism担当 堀江一磨さん

株式会社ラストラム・ミュージックエンタテインメント

父親が人気バンドのマネージャーだったことから、幼い頃から音楽業界へ関心が強く、この世界に飛び込んできたという堀江さんは、明るくノリのいい印象。ただ、Official髭男dismのメンバーとは年齢も近いことから、友達のようになりすぎないよう、マネージャーとしてのしっかりとした線引きを心掛けているという。

常に2〜3手先を読んで、アーティストの未来像をしっかり描けるようになるのが理想。

5〜6才の頃から裏方の仕事をしたいと思っていました

堀江さんは音楽のルーツはブルーハーツだそうで。

僕の父親が音楽業界でマネージャーをやっていたんです。だから家では常に音楽が流れていて、そのなかにブルーハーツや吉田拓郎さん、斉藤和義さんの音楽があって、今でも好きなんです。そうしているうちに父親に憧れて“マネージャーをやってみたい”と思うようになりました。

親に反発して違う道を行くというパターンもありますが。

父親は某人気バンドを担当していて、小さい頃は“何してるんだろう?”ぐらいにしか思わなかったんですが、5〜6才の頃にそのバンドの解散コンサートを観に行って、そこで開演と同時に音玉がダーン!と鳴って、お客さんが一気に盛り上がっている光景がずっと忘れられなくて、その頃から裏方の仕事をしたいと思っていました。

そして、大学在学中から音楽業界に関わり始めたと。

高校を卒業すると同時にライブパワーでバイトを始めて、4年間続けました。最初はお客さんの案内や設営、撤去が多かったんですが、そのうち運営本部の仕事にまわされて、クライアントと直でやり取りをしたり、舞台監督さんや制作さんと連携していろんな業務をしました。

バイトでそこまで任されるのはすごいですね。

普通の学生生活では味わえない経験でした。僕もバイトという感覚ではなかったし、大学を休んでツアーについていったりしてましたね(笑)。そういう仕事をするなかでスタッフさんに顔をおぼえてもらえるのがうれしくて、それがやりがいにつながりました。なんなら就職先を探しにバイトに行ってるような感覚でしたね。“この人はどういう仕事をしてるんだろう?”と観察したり。

「お前、単位大丈夫かよ!」とか言われながら。

言われました言われました(笑)。そうやってライブの現場の楽しさを知って、コンサートプロモーションの会社へ就職し、制作を担当しました。就職してからしばらくして“マネージメントをやりたい”と改めて思い、ラストラムに入りました。そして、Charisma.comの現場マネージャーを担当したあと、Official髭男dism(以下、ヒゲダン)のマネージャーになりました。

僕がヒゲダンの顔になるので恥ずかしくないように

ヒゲダンの第一印象は?

もともと曲は好きでしたし、ライブでは音源を超えるパフォーマンスをするんです。彼らは常に面白いことを探求していて、自分たちに求められていることを楽しみながら形にしていくんです。それが素敵だと思うし、そういう人たちと一緒に仕事をするのは楽しいです。バンドのチームにも同じような考えを持つ人たちが集まっているので、今はこのバンドに携わるチーム全体が好きですね。

マネージャーとして、どういう仕事を心掛けていますか?

ただバンドの世話をするということではなく、常に物事の2〜3手先を読むのが大事なのかなと。そうすることでアーティストの未来像をしっかり描けるようになるのが理想だと思います。

なるほど。

あと、人に正しく伝えていく作業も大切にしなきゃいけないと思います。いくら自分でバンドの魅力をわかっていても、それを正しく人に伝えられないと意味がない。バンドがいくらいい曲を歌っていいライブをしても、その伝え方を間違えると世間には何も伝わらないんです。

確かにそうですね。

あとは、チームが大きくなるにつれて、メンバーが連携を取りたい人も増えてくると思うんです。そういうときにメンバーとスタッフのコミュニケーションを円滑にするのが自分の役割なのかなと最近意識しています。

話していて感じたんですが、堀江さんは普段からノリが良さそうですよね。

あはは! ノリと勢いだけでここまで来ている感じです(笑)。

でもノリと勢いも大事ですよね(笑)。

そうなんですよ。明るく元気にやるのが何よりも大事だと思います。好かれようとしているわけではないんですけど、人当たりは良くしたいなと。外の人に対しては僕がヒゲダンの顔になるので、そこは恥ずかしくないようにしなきゃなと思ってます。

真面目にしっかり仕事に取り組むことももちろん大事ですけど、現場だとノリで乗り越えられる場面も多いですよね。

あはは! そうですね。だからノリも意外と大事だと思います(笑)。

ひとつひとつのことに対して疑問を持つようにしています

メンバーと接するうえで意識していること、気をつけていることは?

メンバーとはいつも楽しくしてはいるんですけど、友達のようになあなあで済ますんじゃなくて、意見があったり、思ったことがあったらしっかり伝えるようにしています。そうやってしっかりとした信頼関係を築くことがバンドを広めていくうえで大事なんじゃないかと思います。こちらが相手を理解しようとしていることをちゃんと伝えることも大事だと思っていますね。

メリハリが大事だと。

本当にそうですね。メンバーも思ったことをちゃんとディスカッションする人たちなので、いつもいい着地点を見つけられるように努力しています。

ヒゲダンは去年メジャーデビューを果たし、今年は武道館公演を控えていて、今、一気にシーンを駆け上がっている印象ですが、そんな彼らの勢いに振り落とされそうになったり、戸惑うことはありませんか?

そういうことはないですね。それよりも、バンドの状況が変化していく様を間近で見ていられることは、これからの音楽業界人生においてかなり大事になると思うので、ただボーッとしているのではなく、“なぜこの媒体から仕事のオファーが来たのか”“なぜこのライブに出演するのか”と、ひとつひとつのことに対して疑問を持つようにしています。そうじゃないと日々の業務をこなすだけで思考が止まってしまうと思うんです。

今はとにかく彼らと一緒にいろんなことを吸収したい

この仕事を通じて得たものは?

常に人のことを考えて仕事をするという考え方を得ました。バンド、レーベルの方々、ライブのスタッフ、お客さん、それぞれの立場に立ってものを考えながら仕事をすることを大切にしています。

マネージャーをするうえで必要な能力は何だと思いますか?

人としっかりコミュニケーションが取れること、うまく話ができることだと思います。伝え方をひとつ間違えると全部意味が変わってしまうことがあるので。

今後の目標は?

いっぱいありますけど、今はとにかくヒゲダンをがんばって、彼らと一緒に大きくなって、いろんなことを吸収したいですね。すべてはそこからだと思っています。

大事なことはパソコンよりノートに手書きで管理することが多いそう。紙資料はOfficial髭男dismのクリアファイルに。ペンケースもアーティストグッズを愛用。ポーチは尊敬する先輩からいただいた大切なもの。

1. PC(Mac) 4. ペンケース

2. ノート   5. ポーチ

3. 紙資料   6. サインペン

Official髭男dism

2012年6月7日結成。2018年にメジャーデビュー。全国ツアーが6月22日(土)仙台GIGSからスタートし、ファイナルは7月21日(日)〜22日(月)Zepp DiverCity。7月8日(月)には日本武道館で追加公演を行う。

https://higedan.com//

Promotion within 100characters

堀江さん、担当アーティストを100Wでプロモーションしてください!

聴いている人の人生に寄り添えるようなポップな楽曲の数々と、期待を裏切らないライブパフォーマンス、ボーカル藤原聡の歌唱力は必聴です。国民的バンドを目指す彼らの楽曲を、ライブを、ぜひ観て、聴いていただきたいです。

最新作はコレ!

2nd single「Pretender」

ポニーキャニオン/PCCA.04784(初回盤)、PCCA.04785(通常盤)/発売中

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