著作物とは何か
著作権法第2条では、「著作物」について次のように定義しています。
第2条(定義) 一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
この定義によれば、(1)思想または感情が入っていること、(2)創作的であること、(3)表現したものであること、(4)文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するものであること、という4つの要件が満たされたものが著作物になります。
著作物にはどのようなものがあるのか
著作物を分類すると次のようになります。これ以外でも、上記の4要件を満たしていれば著作物になり得ます。
著作者の権利の内容
著作権は以下のような権利(支分権)から構成されています。各支分権の意味の解説は割愛します。
「実演」とは何か
「実演」の定義は次の通りです。
実演 著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)をいう。(2条1項3号)
実演には「著作物を演ずる行為」だけでなく、「著作物を演じないが芸能的な性質を有する行為」も含まれるので、奇術、曲芸、腹話術なども実演に該当します。
「実演家」とは誰のことか
「実演家」については次のように定義されています。
実演家 俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行う者及び実演を指揮し、又は演出する者をいう。(2条1項4号)
このように、「実演を行う者」だけが実演家ではなく、「実演を指揮、演出する者」も実演家です。したがって、オーケストラの指揮者や舞台の演出家も実演家に該当します。
実演家の権利の内容
実演家が有する著作権法上の権利は次の通りです。
レコードとは
著作権法では、レコードを「蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの(音をもっぱら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)をいう。」と定義し、「無体物」としてとらえています(2条1項5号)。
いっぽう、音楽業界でレコードというと、CDのように「音が固定されている物」、つまり「有体物」を指す場合がほとんどです。このように、同じ「レコード」でも著作権法と音楽業界ではとらえ方が異なっています。
レコード製作者とは
著作権法では、「レコードに固定されている音を最初に固定した者」をレコード製作者と定義しています(2条1項6号)。レコードに固定されている音を最初に固定した者とは、レコードの原盤を制作した者であり、音楽業界でいうところの「原盤制作者」のことです。
「レコード会社=レコード製作者」とは限らないので、注意が必要です。
レコード製作者の権利
レコード製作者が有する著作権法上の権利には、「著作隣接権」と「報酬請求権」があります。いずれも譲渡可能な権利で、実際、レコード製作者がこれらの権利をレコード会社などに譲渡しているケースも多く見られます。
著作物等の保護期間
著作権や著作隣接権は永久に存続するわけではありません。一定の期間が経過すると権利が消滅し、誰でも自由に利用することができるようになります。そのことが、新たな文化の創造につながるわけです。
著作物や実演などの保護期間を表にすると次のページの表1のようになります。
この表を見ればわかる通り、著作物の保護期間は、映画の著作物を除くと、著作物を公表する際、著作者名をどう表示するかで大きく変わってきます。つまり、実名で公表すると保護期間が一番長くなります。また、変名(筆名など)で公表しても、その変名が誰のものか一般にわかるような場合は実名と同じ扱いになります。
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