ワールドワイドに成功する方法

ワールドワイドに成功する方法

最終回 もといた場所に戻り、「さよなら」を

 みなさんはお気づきではなかったと思いますが、私はみなさんの助けがあって、もとの場所に戻ってこられました。

パット・メセニーの言葉

 今回は、私が書いてきた『音楽主義』コラムの50本目、そして残念ながら最終回です!
 つまり、50回、腰を据えて執筆してきたということです。テーマを考え、アイデアやメモを書きつけ、それらを文章にまとめてきました。だいたいは、テーマを思いつくまでが特にしんどかった。そんなときは、頭に浮かんだものを手あたり次第書いてみました。
 平日の夜、寝ているはずの時間にアイデアをスケッチし、翌日、別の仕事をしているはずの時間に机に向かって書き、週末の午後にカフェに座って仕上げる場合が多かった。ほとんど手を止めず、一気に書き上げることもありました。
 あるときは、そのとき住んでいた東京で、冬季に毎年訪れる故郷の南カリフォルニアで、いつも寒すぎず暑すぎないサンフランシスコで、今暮らしているブルックリンで記事を書いてきました。
 腰かけるたび思考に集中し、頭のなかをかけまわるものにゆっくり耳を傾け、学んだばかりのこと、学び直したこと、これから学びたいことについて考えました。ジャズギタープレイヤー(そして私の好きなプレイヤーの1人)のパット・メセニーはこう言ったそうです。
 「自分がそれほど優れた教師だと思ったことはない。私がしてきた仕事はすべて、私たちの仕事でもあった」
 それは常に私がこのコラムを書くときのやり方でもありました。

「音楽」から「ビジネス」へ

 執筆を始めた頃、私は音楽業界ではまだ駆け出しで、東京にも、マーケティング界にも足を踏み入れたばかりでした。バンドが、赤の他人をリスナーに、そしてリスナーをファンに変えていく微妙かつややこしいプロセスを理解しようとしていました。いつだって、一番ファンを欲しがっているバンドはファンを集められず、何も考えていなかったバンドがやすやすとファンを獲得しているように見えました。
 それが、ある時点から、音楽よりもビジネスに焦点を当てて考えるようになりました。特にそのとき取り組んでいたソーシャルメディアのコンテンツを書くビジネスについてです。
 そのビジネスを売却してからは、ほかの人のビジネスに注目し、「彼らのビジネスを成長させるために自分に何ができるか」「どのようにしたら彼らは理想の顧客を引きつけ、かつ長期間維持できるか」という問いに答えるようになりました。ありがたいことに、過去の「ファン問題」よりも、こちらのほうがはるかに成功を収め、自分のキャリアになっていきました。
 けれども今、私の人生に音楽が戻るのと同時に、その「ファン問題」も帰ってきました。ただ、今回はそれを、「理論にもとづくアーティスト」の「理論にもとづくファン」にではなく、自分の音楽の旅に当てはめるのです。たぶん、以前は逃してしまった答えを今度こそ見つけられるはずです。

連載最終回によせて

 残念ながら、これからは自分の考えを共有するこの場所はなくなります。50回にわたる短いコラムを経て、記事を読み、私がひとまわりして戻ってくるのを助けてくれたすべてのみなさんに、「さよなら」と「ありがとう」を言うときがきました。

 私の音楽はSpotifyまたはYouTubeの「Muted Circus」でチェックできます。意見や質問、感想は、いつでもb@bennyrubin.comに送ってください。

 Goodbye and thank you!

PROFILE

Benny Rubin

Benny Rubinベニー・ルービン

マーケティングおよびセールスの専門家。日本に断続的に10年近く住み仕事をしている。日本の主要なレーベル、映画会社、ブランド、広告代理店と豊富なマーケティングの仕事経験がある。連絡先は、b@bennyrubin.com

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