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音楽利用トラブル回避ガイド

2016年01月09日 (土) 音楽利用トラブル回避ガイド

「クレジットはすごく大事」の巻

音源制作の際にすごく大事なのが、楽曲名、作詞作曲者名、関係者情報などのクレジット。 ここにミスがあったりすると、権利者が使用料を受け取れなくなったり、 納期が遅れることになったりも。慎重に!

解説

 アルバムジャケットや歌詞カード、テレビ番組のエンディングや映画のエンドロール等、音楽が使用される様々なシーンで表示される楽曲や音源の著作制作に関わる関係者のクレジット表記。このクレジット表記を間違えてしまうと、どのような影響があるのでしょうか?
 Aくんがまとめたクレジット情報には、楽曲名や作詞者名、作曲者名などの著作権にまつわる情報のほか、アーティストやレコードメーカー、プロデューサー、バックミュージシャンなどの音源制作に携わった関係者の情報まで、幅広い情報が盛り込まれています。
 このクレジット情報は、著作者やアーティスト、音源制作者の権利を管理し、権利者に使用料の支払いを行う権利者団体への権利情報の届け出に、大切な役割を果たしています。
 権利者団体は、届け出を受けた権利情報にもとづいて、楽曲音源の利用に応じた使用料を支払いますので、誤った情報を届け出た場合には、正しい権利者が使用料を受け取れない事態が発生しかねません。それだけでなく、誤った情報によって使用料を受け取った当事者との調整が必要になることもあるでしょう。また、アルバムジャケットや歌詞カードの再作成が必要になれば、そのぶん追加費用がかかりますし、発売日が遅れることによって、セールスに直接的な影響があるかもしれません。
 このことからも、クレジット情報は、権利者だけでなく、レコードメーカーや音楽配信会社等の利用者にとっても重要な情報ということがわかります。クレジット情報は、関係者に事前に確認を行って、正しい情報を表記することを心掛けましょう。
 また、著作者名の表記をどういう名義で公表するかによって、著作権が保護される期間(著作権存続期間)が異なります。著作権は、著作物の創作の時点で自動的に発生し、原則として著作者の死後70年まで存続しますが、著作者名にペンネームや芸名を使用した変名の著作物、バンド名を使用した団体名義の著作物の著作権存続期間は、著作物の公表後70年となります。ただし、「周知の変名」の場合には、実名の著作物と同様に著作権存続期間は死後70年までとなります。「周知の変名」とは、「変名が著作者本人の呼称であることが一般人に明らかであり、その実在人が社会的に認識できるようなものであることを必要」とします(加戸守行『著作権法逐条講義 六訂新版』より)。
 なお、バンドメンバーが創作した楽曲は、著作者名をバンド名ではなくメンバー個人の実名で公表することによって、著作権存続期間を最後に亡くなったメンバーの死後70年とすることができます。
 また、クレジット表記にある(C)(マルシー表示。Copyrightの頭文字)や、(P)(マルピー表示。Phonorecordの頭文字)という記号は、年号・会社名等とともに表記することで、(C)は著作物が最初に発行された年と著作権者を、(P)はレコードが最初に発行された年と原盤権者を表しています。

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