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2020.01.16

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徹底追及第17弾!!

「チケット高額転売問題」について考える

チケット不正転売問題の今

2019年6月に「チケット不正転売禁止法」が施行、あわせて音楽・エンタメ業界による「チケット適正流通協議会(FTAJ)」も発足しました。本誌新年号の今回はこの件についての現状報告をします。

text:東條 岳弁護士(Field-R法律事務所)

チケット不正転売禁止法の 施行とその影響

 チケット不正転売禁止法が施行されて半年あまりが経過し、徐々にその影響が出てきています。2019年10月には、「嵐」のコンサートチケットをSNSで転売したとして、同法違反などの疑いで、大阪府警が札幌市の女性を書類送検したほか、11月には、プロ野球のオールスター戦や宝塚歌劇団のミュージカルのチケットなどを転売サイトで高額で転売したとして、同法違反の疑いで、警視庁が東京都の男性を逮捕しています。
 チケット不正転売禁止法違反は、これまでの詐欺罪による立件にくらべると成立が明確になりやすいため、今後も違反者の摘発が続くものと考えられます。

チケット不正転売禁止法の概要

 さて、「チケット不正転売禁止法」がどのようなチケットの、どのような取り引きを禁止しているのか、改めて確認してみましょう。

1. どのようなチケットが対象になるか
 チケット不正転売禁止法で不正転売が禁止されている「特定興行入場券」に該当するチケットは、次のようなチケットです。
 (1)チケットの販売時に、興行主の同意のない有償譲渡を禁止すると明示されていること
 (2)「興行主の同意のない有償譲渡を禁止する」ことが、券面(電子チケットは映像面)に記載されていること
 (3)興行の日時・場所、座席(または入場資格者)が指定されたものであること
 (4)座席が指定されている場合は、チケットの購入者の氏名と連絡先(電話番号やメールアドレス等)が確認されており、「チケットの購入者の氏名と連絡先が確認されています」と券面に記載されていること
 (5)座席が指定されていないスタンディングのライブやフェスなどの場合は、入場資格者の氏名と連絡先が確認されており、「入場資格 者の氏名と連絡先が確認されています」と券面に記載されていること
 チケットを販売する主催者やプレイガイドなどにおいては、特定興行入場券であることが一見してわかるように、「特定チケット」といった表記が推奨されています(写真)。法律の対象となるチケットであるかどうかは、「特定チケット」の表記を目安にしてください。

特定チケット




2. どのような行為が対象になるか
 チケット不正転売禁止法においては、チケットの「不正転売」と「不正転売目的の譲り受け」が禁止されています。
 ここでいう「不正転売」とは、特定興行入場券(特定チケット)を、販売価格を超える価格で第三者に転売するような行為をいいます。家族間での単発的な譲渡などの例外はありますが、常習的にチケット転売サイトで複数枚のチケットを販売価格を超える価格で転売するような場合には、そのほとんどが「不正転売」に該当し、摘発の対象となるでしょう。

3. 注意が必要なこと
 特定興行入場券(特定チケット)ではない場合であっても、主催者やプレイガイドとの間の販売契約(利用規約)において、譲渡などが禁止されている場合もあります。このような場合は、チケットの名義人以外は会場に入れないこともありますので、入場条件や販売条件をよく確認するようにしてください。
 なお、特定興行入場券(特定チケット)ではないチケットであっても、転売目的であることを隠してチケットの購入申込みを行った場合には、詐欺罪に該当する可能性もあります。

チケット適正流通協議会について

FTマーク

 チケット適正流通協議会(FTAJ)に参加しているメンバーは、正規の販売業者としてチケットを販売しており、正規の販売業者には、販売サイト等において「FT(フェアチケッティング)マーク」を掲載することを推奨しています。このマークは、正規の販売主体であること、そして、やむを得ない理由で公演に行けなくなった際に利用される正規の二次流通サービスであることを示す、音楽ファンが安心してチケットを購入するための目印です。  やむを得ずライブやイベントに行けなくなってしまった場合は、「チケトレ」などの「FTマーク」があるサービスを利用して、リセールを行いましょう。
 また、FTAJのウェブサイトには、音楽ファン向けのチケット不正転売禁止法に関するQ&Aや、特定興行入場券(特定チケット)として販売されているライブ・イベントの一覧(一部)も掲載されていますので、ぜひチェックしてみてください。

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