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2019.05.24

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徹底追及第15弾!!

「チケット高額転売問題」について考える

いよいよ施行!「チケット不正転売禁止法」超入門

2019年6月14日に施行される「チケット不正転売禁止法」。でもなんだか難しい! という方のために、ここでは純粋な音楽ファンが疑問に思うだろう ベーシックなことを、できるかぎりわかりやすくまとめました。不要なトラブルに 巻き込まれないためにも、チケットを譲りたいとき、譲ってもらいたいときは、 「チケトレ」など正規のリセールサービスを利用するようにしましょう。

text:東條 岳弁護士(Field-R法律事務所) illustration:NOBBY

Q1. なぜチケットを転売してはいけないのですか?

なぜチケットを転売してはいけないのですか?

 みなさんは、自分がお金を出して買ったチケットなのだから、それをどうしようといいのではないかと思うかもしれません。人気のある公演のチケットは、申し込みが殺到し、抽選になることも珍しくありません。当然、倍の値段でも、10倍の値段でもチケットが欲しいと思う人もいるでしょう。
 そこに目をつけたのが「転売ヤー(転売屋)」と呼ばれる人たちで、自分で行くつもりがないチケットを購入し、高額で転売することで利益を得ています。
 「転売ヤー」によってチケットが高額で取り引きされるようになると、みなさんがライブやコンサートを楽しむには多額のお金が必要になり、それらを楽しむ機会が奪われるだけでなく、本来お金が還元されるべき音楽や演劇、スポーツなど、文化・芸術分野の利益が損なわれることで、日本の文化・芸術が衰退することにもなりかねません。
 そういった事態になることを防ぐために、多くのプレイガイドではチケットの高額転売が禁止されており、また、新たにチケットの不正転売を禁止する法律が作られたのです。

Q2. 新しい法律では、チケットを転売すると罰せられるのですか?

新しい法律では、チケットを転売すると罰せられるのですか?

 新しくできたチケットの不正転売を規制する法律では「特定興行入場券」というチケットを券面価格を超える価格で転売すると、罰せられる場合があります。「特定興行入場券」に該当するチケットは、次のようなチケットです。

 こうしてみると、どのチケットが対象になるのかわかりにくいように思いますが、チケットを販売するプレイガイドなどにおいては、チケット不正転売禁止法の対象となるチケットであることが一見してわかるような券面表記を検討しています。
 チケット不正転売規制法に違反し、不正転売を行ったとされると、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはその両方が科されます。

Q3. 転売されているチケットを買ってもいいのですか?

転売されているチケットを買ってもいいのですか?

 転売されているチケットを購入しても、法律的に罰せられることはありません。しかし、多くのライブやイベントなどのチケットは高額転売や他人への譲渡が禁止されていますので、せっかく高額で購入したチケットを会場に持参しても、会場に入れない場合があります。
 また、お金を振り込んだにもかかわらずチケットが届かないであるとか、約束していた内容のチケットと違うチケットが届くなどのトラブルも報告されています。
 転売されているチケットを購入する場合は、「チケトレ」などの正規のリセールサービスを利用するようにしてください。

Q4. 自分が行くライブのチケットを多めに買って、数枚転売するくらいなら処罰されませんか?

自分が行くライブのチケットを多めに買って、数枚転売するくらいなら処罰されませんか?

 チケットの不正転売を規制する法律においては、友人や家族に対する単発的な譲渡については違法とされていませんが、チケットの転売を反復継続して行い、利益を上げているような場合は、たとえ個人で行っていたとしても、法律に違反する可能性があります。
 また、最初から転売するつもりでチケットを購入する行為は、チケットを販売するプレイガイド等に対する詐欺に該当するとして、有罪判決が確定したケースもあります。
 1枚くらいなら、と思うかもしれませんが、お小遣い稼ぎが目的の高額転売は処罰対象になりますので、気をつけましょう。

Q5. 用事ができたり、風邪で行けなくなったりした場合はどうすればいいのですか?

 ライブやイベントによっては、「チケトレ」などの正規のリセールサービスに対応している場合があり、券面価格と同額でチケットを転売することが可能です。非公式の転売サイトやSNSなどでチケットを転売することもできますが、多くのプレイガイドではチケットの高額転売や譲渡が禁止されていますので、チケットを譲った人が会場に入れない場合があります。
 自分が行けなくなってしまった場合、代わりに友人や家族に行ってもらいたいと思うこともあるでしょうが、ライブやイベントによっては、チケットの名義が違うと会場に入場できないとされている場合もあります。そのような場合、原則として、家族や友人であっても代わりに行ってもらうことはできません。
 たとえ自分が行けなくなったとしても、正規のリセールサービス以外の方法でチケットを転売したり譲渡したりすると、買った人が会場に入れなかった結果として返金を要求されたり、トラブルになる可能性がありますので、自分で行くことができなくなってしまった場合には、できるだけ正規のリセールサービスを利用するようにしましょう。

用事ができたり、風邪で行けなくなったりした場合はどうすればいいのですか?

チケット高額転売問題・担当 野村達矢 日本音楽制作者連盟理事より

 ライブやコンサートは会場費や演出などに多額のお金がかかりますが、多くのアーティストは1人でも多くのファンに、少しでも安い値段で観に来てほしいと思い、チケットの価格を設定しています。
 しかし、「転売ヤー」によってチケット価格が不当につり上げられることは、ライブやコンサートにかかわっているすべての方々の努力と誠意が踏みにじられるばかりか、純粋な音楽ファンのみなさんも本来の価格から数倍の金額を支払わなければライブやコンサートに行けなくなります。また、本来であれば、そのつり上がったぶんのお金で別のアーティストのライブやコンサートに行ったり、アーティストグッズを購入したりすることができたにもかかわらず、それもできなくなり、しかも、その利益は「転売ヤー」に流れるばかりで、アーティストの利益にはなりません。このような結果をアーティストが望んでいないことは明らかです。
 不正転売は、絶対にあってはならないのです。
 この法律には、チケットの適正な流通を確保するためにも、純粋な音楽ファンのみなさんにチケットを譲渡できる機会を提供するという努力義務も定められています。
 ライブやコンサートの主催者や私たち音楽団体は、「チケトレ」など公式チケットの二次流通網の整備や新たな入場システムの研究を含め、音楽ファンのみなさんの利便性を損なわず、いかにして不正転売を防ぎ、そして、適正な価格で多くのファンのみなさんにライブやコンサートを届けるか、日々検討しています。

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