SPECIAL

2019.01.18

SPECIAL

門池三則

一般社団法人 日本音楽制作者連盟 理事長 門池三則

新年のごあいさつ 〜未来の音楽業界を担うみなさんへ〜
GREETING from FMPJ 2019

一般社団法人 日本音楽制作者連盟

理事長門池三則

みなさんの自由な発想や斬新なアイデア、
若いエネルギーを、音楽業界は必要としています。

 新年明けましておめでとうございます。
 『音楽主義』を発行しています、日本音楽制作者連盟の理事長、門池です。いつも本誌を読んでいただき、ありがとうございます。
 音制連という団体は、文字通り音楽を制作、アーティストをマネージメントする会社が集まり、1986年に設立されました。簡単に言うと、音楽を愛する、音楽好きの集まりです。そんな、自分たちが愛する音楽、アーティストを、世の中にまっすぐに届けるため、そしてアーティストが創作した作品を聴いたり、観たりした際に派生する著作権を守るために、様々な活動をしています。著作権を守る―それは音楽作品への対価をしっかりと確保し、アーティストに還元して、新たなさらにいい作品を創作してもらうこと、そのサイクルをスムーズにすることであり、それが我々の仕事のメインテーマです。

 もちろんより多くのみなさんに、安全で快適にライブエンタテインメントを楽しんでいただくために、関連団体の方々と手を携え、様々な環境整備に取り組んでいます。ここ数年は特にチケットの高額転売問題解決に注力しました。その結果、報道でご存知の方も多いと思いますが、昨年12月8日、「チケットの高額転売を規制する法律」が成立しました(違反した場合には1年以下の懲役や、100万円以下の罰金を科す規定が盛り込まれている)。
 botなどのソフトで大量にチケットを買い占め、高値で転売サイトなどに売り出すダフ屋行為は、本当にアーティストのことを愛してくださっている、ライブを心から楽しみにしてくださっているファンの方々が、ライブに行けなくなってしまうという残念な状況を作り出していました。もっと言うと、どうしてもライブに行きたくて、不正チケットを高額で買ってしまうことによって、ほかのライブに行くための資金、機会が奪われてしまっているということです。
 それはアーティストにとっても不幸です。今の時代、CDの売り上げを伸ばすのは容易ではありません。ではどこで音楽活動を継続するための資金を確保するかといえば、ライブなのです。その機会を不正チケットは奪っているとも言えます。
 この法律は今年6月から施行されますが、実はまだこの法律の本質が理解されず、勘違いされている人が多いようです。すべての「転売」行為を取り締まる法律ではなく、あくまでダフ屋、ネットダフ屋による「ダフ屋行為」を禁止するものです。やむを得ない事情で、どうしてもそのライブに行けなくなった人のための「不要チケット対策」は、すでに音楽業界団体公認のチケットリセールサービス「チケトレ」がスタートしているので、そちらを利用していただいている方もいるかと思いますが、このサービスの認知をさらに広げる必要があります。不正に売買されたチケット対策は、身分証明書の提示や、顔認証など、すでに興行主側が様々な方法で対応していますが、ますます興行主の本気度の高さが必要になると同時に、みなさんのモラルが試される法律でもあります。

 音楽を生業としている者としては、不正に売り出されたチケットを高額で購入するのではなく、そのぶんで、ほかのアーティストのライブにも足を運んでほしいと、心から思います。特にライブハウスにぜひ行ってみてください。
 私もライブハウスで働いた経験がありますが、今でも、仕事でもプライベートでも、頻繁にライブハウスへ行きます。一生懸命音を鳴らし歌うバンドマンの姿、汗を見ていると、とにかく熱いものを感じるし、音楽の可能性や未来を見いだすことができる場所だからです。まだ知られていないバンドにたくさん出会い、そのなかから自分のお気に入りを見つける楽しさは、ライブハウスならではのものだと思います。時には、ビッグアーティストもライブハウスのステージに立ち、間近で彼らのパフォーマンスを見ることもできます。さらに、ライブハウスから世界へ羽ばたくアーティストもいます。一緒に夢を見ることができるその最初の場所が、ライブハウスです。

 ここからはさらに“本気の”お願いになってしまいますが、ライブハウスに行って、さらにその先にある音楽業界に、ぜひ興味を持ってください。興味を持っていただけたら、ライブ現場でアルバイトを経験してみてはいかがでしょうか。
 今、ライブエンタテインメントに関わる業務を経験したいと集まってきてくれていた若い人、特に学生アルバイトが減ってきていて、人材不足は深刻な問題です。もちろん働きやすく、条件のいいアルバイトはほかにもたくさんあるかもしれません。でもライブは、なかなか経験できない瞬間や時間を提供してくれる、という見方もできます。アルバイトもライブスタッフの一員で、アルバイトの方なしではライブは成立しません。アーティストの熱、そしてそれを支えるスタッフの熱、さらに会場に詰めかけるお客さんの想いと熱とが交錯するのが、ライブの現場です。そこで肌で感じる熱は、みなさんの人生に、もしかしたら大きな影響を与えるかもしれません。そして音楽業界を目指してください。みなさんの自由な発想や斬新なアイデア、若いエネルギーを、音楽業界は必要としています。

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