特集記事

2018.10.19

SPECIAL

特集記事

四谷アウトブレイク

interview #4

四谷アウトブレイク
佐藤boone学 店長

早朝ライブ、24時間ライブ、がまの油売り、プロレス、ストリップ…と、 “何でもやっちゃう”個性派ライブハウスとして知られる四谷アウトブレイク。 ライブハウスってこんなに面白い!ということを体現しているお店だ。

text:吉田幸司 photo:青木早霞(PROGRESS-M)

本流を守りながらも、“脱ライブハウス”
みたいなことはすごい考えてます。

ライブハウスにお金を落とすことを面白いと思ってもらわないと

アウトブレイクが今、ライブハウスとして一番大事にしていることは何ですか?

あくまで本流を守りながらではあるんですけど、“脱ライブハウス”みたいなことはすごい考えてて。面白いものは世の中にいっぱいあるじゃないですか。じゃあ好きなライブハウスがもっと面白くなるために僕らに何ができるかということを考えると、結局、これだけ音が出せるし、ボコンと空いてるスペースがあるので、いろいろやれるわけですよ。それこそ演劇、お笑い、映画の上映会もできるし、プロレスもできるし。いろんなエンタテインメントを持ち込んで、そっちのお客さんが「え、ライブハウスでやるの?」って初めて来てくれるとか。逆にバンドのお客さんが「え、ライブハウスでストリップやんの? 行ってみようかな」みたいな。そうすれば全然知らない人同士が集まれるじゃないですか。

空間の使い方の枠を広げたら、いろんな人が集まれる場所になるという。

結局、ライブハウスにはどインディーズのミュージシャンたちがいるわけじゃないですか。で、それを好きな人たちがいて。それは演劇とかもそうなんですよね。インディーズの映画シーンもそうだし、プロレスもそうだし、アイドルもそうだし、お笑いもそうだし。そういうインディーズ好きな人たちが集まれば、なんか面白くなるんじゃないかなっていう。

要は、ライブハウスを広い意味で“ライブ”をやる場所ととらえるということですね。

はい、もう何でもいいんじゃないかなみたいな(笑)。あと、四谷って別に音楽が有名な街でもないし、ただのオフィス街だし。普通に渋谷、新宿、下北、高円寺とかと同じ戦い方をしてたら、絶対うちなんか成り立たないので。個性派と呼ばれないと、どうしても埋もれてしまうじゃないですか。

なるほど。そうした面白い企画をやることで、実際に動員が増えたりも?

長い目で見れば増えたのかなっていうのはあるんですけど、やっぱりしばらくやらないと数字はついてこないですね。ここで映画上映やるっていっても、映画ファンの人からしたら、ライブハウスの椅子で観たくないなとか。でもそれをコツコツやっていくことによって、あ、煙草も吸えるしビールも飲めるじゃんとか、もっと自由に観れるんだみたいな。というところで、ちょっとずつ増えていくみたいな感じなんですよね。

即効性を求めるんじゃなく。

それと、ライブハウスにお金を落とすことをもっと面白いなと思ってもらわないと。だって居酒屋に勝とうと思っても、ビール200円とかで出されたら勝てないし(笑)。じゃあなんで楽しいんだろうっていうところを追究して、お客さんを調教していかないといけないんですよ。ライブハウスで金使うのは楽しいことだ、気に入ったバンドの物販買うのはカッコいいことだ、みたいな(笑)。“なんか雰囲気良くない?”“楽しくない?”“これでこの値段、いいっしょ!”みたいなところに持っていきたいんですよね。

早朝ライブは、早起きすれば日曜日が2回来ると思って(笑)

早朝ライブや24時間ライブといった変わり種企画も目を引きますね。

早朝は完全にノリです(笑)。日曜日にやるんですけど、だいたい。日曜に早起きして遊んで、昼間に終わって、昼寝して、夕方からまた遊びに行けば、日曜日が2回来るわと思って(笑)。

日曜日を倍楽しめるという(笑)。

これは画期的な発明だと思ってやってるんですけど(笑)。それもまあ、朝早起きしてライブハウスに来るっていう非現実感とか、何かワクワクを持ってきてほしいなと思って、ちょっとエクストリームな時間にやるんですけど(笑)。僕、本当に思うんですよ。日曜日のライブってきついじゃないですか。次の日仕事で、終わったあと飲みに行くにも、今日はいいわみたいな。っていうのが嫌で。自分がライブハウスに遊びに行ったとき、何が楽しかったかって、ライブの前後が楽しかったんですよ。ライブに行く前に友達と集まってちょっと飲んで、そのままライブに行くとか。

ライブが楽しいのは前提として(笑)。

もちろん! でもライブが終わったあとに、みんなで集合して感想を言い合う飲み会やりましょうとか、次の予定があるのが楽しくて。早朝ライブは、次の予定がみんなそれぞれあるんですよ。家に帰って洗濯しますとか、ランチ行きますとか、映画観に行きますとか、夕方また別のライブに行きますとか。みんなに予定があるなかでライブハウスに行くと、なんつーんすか、楽しいんですよ!!

あははは!

だって日曜日のサザエさんってせつないじゃないですか。終わってしまった!みたいな。そうじゃなくて、土曜日の“次もある”みたいな感じが好きなんですよね。

ブッキングに関して何か気をつけていることはありますか?

うちの場合だと1個のジャンルで1日を作らない。まあ、作れないっていったほうが正しいんですけど。飽きちゃうんで、僕が(笑)。だからどっちかというと、このバンドとこのバンドが一緒になったらジャンルは違うけど面白いなっていうのと、あと向いてる方向がなんとなく一緒な人を集めるようにしてますね。

四谷アウトブレイク

いろんなエンタテインメントを持ち込めば、知らない人同士が集まれるじゃないですか。

いろんな人がいて、いろんなことが面白いのを伝えたい

いずれにしても自分が好きなものしか出したくないというのもあります(笑)?

いや、自分の趣味じゃないバンドでも、僕もずっとバンドやってましたし、ライブハウスが好きだから、やっぱり愛おしいわけですよ。「お前ら、俺の趣味じゃないけどマジいいな」みたいな(笑)。そういう人たちに来てほしいなっていう。だって、いい歳した大人が、いろんな楽しいことがあるのに、みんなで金出してせっせと毎週スタジオに行って、会社休んでライブやるわけじゃないですか。そんな非効率的なことあります? 僕、それをやりたい人っていうのはやっぱりもう無条件に好きっすからね。

ライブハウスシーン全体に対して何か思うことはありますか?

僕ら13〜14年目になるんですけど、そこからくらべたらやっぱり増えたじゃないですか。ライブハウスが増えるのって、質が落ちるじゃんみたいに言う人もいるんですけど、僕は大歓迎で。純粋に触れる機会が増えればいいし、いろんな店が増えればいいと思ってるんですよ。

数十人の小バコも結構あるし、わりと誰でもできるようになったんでしょうか?

誰でもできるようになったっていうのも感じますし、それこそマイナスな意味じゃなく、ライブハウスじゃなくてもいいんだよなっていうのをみんなが気づきだしたというか。アイドルやるんだったら、楽器も何もない、ちっちゃいハコでいいし。動員20人しかいないアコギのバンドだったら、バーで演奏できる場を探したほうがいいし。だから自分の身の丈に合ったというか、自分の活動スタイルに合った場所を選べるようになったんですよ。

で、それはいいことだと。

僕はいいことだと思います。だからこそ、じゃあなんでライブハウスなの?っていう意味が必要じゃないですか。それを僕らはどうやって作っていくかっていう。

それでもライブハウスと名乗るなら、その意義を考えないといけないという。

そうなんですよ。ライブハウスである意味をちゃんと持ってないと。

では、ライブハウスの今の役割みたいなことでいうと、どう思っていますか?

そこはライブハウスごとに全然違うと思うんですけど、僕なんかはまず一個に、その街に根付きたいというのがあるんで。四谷の街に。なので近所の人たちとも仲良くさせてもらっていて。あとは、いろんな人がいていいし、いろんなことが面白いっていうのを伝えたいというか。

いろんなもの、いろんな人がここには集まっていて、いろんなことが起こっているという、情報発信源みたいな感じですね。

はい。好きなものも嫌いなものもいっぱいあるから、それを自分で選んで、自分で楽しくしてください!っていう感じですね。

四谷アウトブレイク

四谷アウトブレイク

東京都新宿区四谷2-10 第2太郎ビルB1(最寄り駅:四谷三丁目駅、四谷駅)
03(5368)0852

オフィス街でもある四谷に、2004年にオープン。音楽にとどらまず、演劇、お笑い、落語など様々なエンタテインメントを提供。毎週火曜日は500円で飲み放題、ライブハウス専用の耳栓をプロデュースするなど、話題性にも事欠かない。キャパは最大230人。

タグ: