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2017.11.17

SPECIAL

TORIENA

TORIENA

アートワークまでセルフプロデュース

TORIENA

家庭用ゲーム機の音源チップなどを使い、 そのチープなサウンドをアートとして昇華したチップチューン。 ネットレーベルMaltine Recordsのtomadと手を組み、この夏に メジャーデビューしたチップチューンアーティスト、TORIENAをキャッチした。

text:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)

音楽ってアートワークなど含めて
トータルで印象づけられるものですよね。

チップチューンは海外でもシーンのある文化なんです

TORIENAさんはチップチューン文化を、ゲームボーイを楽器として用い、キャッチーに表現されてきました。さらに、SoundCloudを活用しながら、最近はインスト曲だけでなくボーカル作品まで幅広く発信されていて進化を感じています。

私は今24才で、初めてゲーム機を触ったのがゲームボーイカラーだったんです。なのでチップチューン的にはギリギリな世代でした。ゲームが好きというよりは、チップチューンのサウンド自体の魅力にハマりました。

TORIENAさんのライブで、ゲームボーイを楽器として扱っている姿に懐かしさを超えていく革新性を感じました。

ゲームボーイって携帯ゲーム機の先駆けですよね。それを使ったチップチューンは海外でも知られる文化であるいっぽう、まだ成熟しきってないジャンルで人口は多くなくて。そのぶん、いろんな方々と交流してきました。

ヒップホップ文化みたいですよね。ターンテーブル=実機(ゲームボーイや音源)、グラフィティ=ピクセルアートで、みたいな。

そうですね。こだわりという面では、実機以外の音を使うのはナンセンス、みたいな実機原理主義者な方もいらっしゃるんですよ。海外では「フェイクビット」って揶揄する言葉もあります。私はどちらかというと実機原理主義の方々と交流があったんですけど、でもそこから脱却しながら世界を広げていきたくて、DTM音源を混ぜて歌っていこうと思ったんですね。

歌っていこうと思ったきっかけは?

それこそ、チップチューンの先輩に「歌わないの?」って言われたんです。「あ、そっか、歌うのもアリなんだ!」って思って。チャレンジしてみたら聴いてくれる人が増えました。

創作活動を通じて人生に彩りをつけたいなって思ったんです

自分の作品が広がったきっかけは?

インターネットですね。私が音楽活動を始めたのが2012年で。ちょうどネットレーベルが浸透してきた時期でした。プロの世界やレーベルとかだと、デモテープを送るにもハードルが高いじゃないですか? でも、ネットレーベルには気軽さがあったんです。

思想的にもありますよね。

最初、SoundCloudにアップして、その後、今はもうなくなってしまったんですけどVol.4 Recordsっていうネットレーベルがあって。主宰の方がライブに来てくれて「EP出せば」って言ってくれたんです。実際リリースしたら、聴いてくれるリスナーがさらに増えました。

それこそゲームボーイでライブをされることになったきっかけは?

当時、京都に住んでたんですけど、京都木屋町にcafe la siestaというゲームカフェバーがあって、そこがチップチューン文化のメッカでした。友達と遊びに行って、マスターに「チップチューンやりたいです!」って言ったらゲームボーイ用のLSDJというソフトを教えてくれて。そのときはすぐに取りかからなかったのですが、友達が積極的な子でライブのブッキングをしてくれたんです。で、30分のセットを作って初めてゲームボーイでライブをしました。

めっちゃパンクな感じですね。

そこからハマって今に至ります。チップチューンは、頭のなかに鳴っている音をダイレクトに出力できるんですよ。

なるほど。髪の毛の色がピンクですけど、もともとファッションもお好きだったりしたんですか?

そうですね。でも、音楽活動を始める前は引っ込み思案でした。今もなんですけどね(笑)。とはいえ人生一度きりだし、やりたいことはやっておいたほうがいいかなと。

イラストも手掛けられたり、セルフプロデュースへのこだわりも強そうですね。

 作品やイラスト、世界観やタイトルなど、音楽ってプロモーションやアートワークなど含めてトータルで印象づけられるものですよね。もともと人とかかわるのは苦手で、すべて自分で制作をしていました。でも、メジャーデビューをサポートしてくれたtomadさんをはじめ、ライブやミュージックビデオなど、自分では作りきれない部分は人に任せられるようになりました。チームでの活動も含め、創作活動を通じて、人生に彩りをつけていきたいなって思ったんです。

INFORMATION

シンガーソングライター。サウンドやアートワークをすべてセルフプロデュースで手掛ける。ゲームボーイ実機とDTMを使った楽曲をインターネットで広めつつ、激しいライブも話題に。8月にデジタル配信EP「MEL ANCOZMO」でメジャーデビューした。

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