特集記事

2017.03.15

SPECIAL

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ここまで進化していた!

WEBメディアの今

音楽の多様化、聴き方の多様化にともない、 音楽情報を発信するメディアも多様化してきている。テクノロジーとともに進化している WEBメディアの現状を、周辺事情に詳しいふくりゅう氏が解説。

text:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)

WEBメディアは音楽との出会いを最適化してくれる

革新的なWEBメディア

 インターネットにおけるWEBメディアの役割は、テクノロジーの進化とともに変化している。音楽の楽しみ方の多様化への対応だ。たとえば、ストリーミング配信サービスとしてスタートしたSpotifyを、カタログを取り揃えたフリーミアムの音楽配信サイトとして受け止めると読み違える。音楽を体系化して整頓する“聴ける”音楽ガイドブックの再発明と考えるとわかりやすいかもしれない。平成の時代も変わりつつある2017年。進化し続けるWEBメディアとは、音楽との出会いを最適化してくれるメディアと定義できることだろう。
 Spotifyのプレイリストには「New Music Wednesday」「Tokyo Super Hits!」「キラキラポップ:ジャパン」などテーマに応じて楽曲が選曲・収録され、随時更新される点に注目したい。いうならば放送局が作る番組に近い感覚だ。新しい試みとしては、マーティ・フリードマンをキュレーターに迎え、おすすめのメタル曲を解説する日本初の番組スタイルによるプレイリスト「Metal Jukebox」。楽曲の合間にトークを織り交ぜ、ラジオ番組スタイルで楽しめる展開がユニークだ。すでに海外では著名アーティストも参加している人気コンテンツであり、音楽好きを育成するであろう音楽に重きを置いた新たな楽曲プロモーション手法として注目したい。
 Spotifyの到来もだが、昨年秋から、音楽を紹介するWEBメディアに様々な新陳代謝が起きている。ラジコの進化もそうだ。ネットラジオで楽曲が解放されない日本にとって、パソコンやスマホがラジオ受信機となるサービスは革命的だった。聴き逃し番組を過去1週間さかのぼれるタイムフリー聴取と、番組を分単位で時間指定してSNS上でシェアできる機能を備えたことで、ラジコはクオリティの高いコンテンツを取り揃えた最先端の音声メディアへと進化したのだ。
 台湾発アジアグローバルの定額制音楽配信サービスであり、日本国内でも定着しつつあるKKBOXは、国内に編集部を構えることでかゆいところに手が届くローカライズされたプレイリストの更新や、日々アップデートされるインタビュー&コラム企画と連動する“聴ける音楽雑誌”として音楽の楽しみ方を再構築していることに注目したい。
 新しい才能を持つニューカマーのピックアップに定評を持つ、優秀な耳利きキュレーターを揃えるSpincoasterの存在も面白い。CDショップのポップや試聴機展開をWEB上で楽しめるかのようなサービスを展開している。企業のサウンドマーケティングも手掛けている選曲のプロフェッショナルチームであることも興味深い。
 インターネットテレビ局AbemaTVは、フェスの生中継や独自の音楽番組をスマホさえあればどこでも楽しめるという利便性を与えてくれた。民放テレビ番組ではなかなか生中継される機会が少ないライブ中継ではあるが、若い世代のロック熱を救い上げ、音楽愛を感じる若々しい運営体制が頼もしい。
 紙メディアの再構築、批評メディア展開を試みるBASEMENT-TIMESによるインディペンデントな存在感にも注目だ。スマホファーストを考えた記事展開。時には波紋も呼ぶ独創性豊かな“本音”で語る切り口のユニークさ。プレスリリースに頼るニュースサイトとは一線を画した辛口なメディア展開が斬新だ。
 圧倒的視聴者数を誇る生配信アプリLINE LIVEも、音楽との出会いのきっかけを与えてくれる存在だ。最新事例で興味深かったのはこの春、ソニー・ミュージックレーベルズ、アリオラジャパンからメジャーデビューする電波少女(デンパガール)のプロモーション展開だった。「電波少女的ヒッチハイクの旅」と題し、全国をヒッチハイクで移動し47都道府県全県にてストリートライブを敢行したことがLINE世代を中心に話題となったことをご存知だろうか。旅の一部始終を生中継したLINE LIVEは、人気チャンネルランキング1位、ライブランキング1位を獲得し、総ハート数は5千万を超えたことに驚かされた。
 さらに、国内外の新たなカルチャーをピックアップする動画メディアluteの存在も気になるところだ。最先端のシーンで活躍する気鋭のアーティストとクリエイターをつなぐことで、インキュベーターのような存在となり、カッティングエッジなWEBメディアに育ちつつある要注目の存在だ。

楽曲がリスナーを探す時代

 これまで音楽業界は90年代以降、CDバブル時代を経てタイアップ偏重なプロモーションが主流となっていた。しかし、その手法も通用しづらい時代となった。新たな音楽WEBメディアの台頭によって音楽が音楽として評価される仕組みが体系的に整えば、力技を必要とせずとも“楽曲がリスナーを探す時代”がやってくるだろう。Spotifyが導入した「バイラルトップ50(日本)」チャートのように、SNSでのバズを可視化するという、セールスや再生回数にとらわれない“発見のあるランキング”も興味深い。これら、革新的とも言えるWEBメディア最新動向に注目していきたい。

※筆者が、日本初の外部選曲家として担当するSpotify公式プレイリスト「キラキラポップ:ジャパン」では、独自の進化を遂げる日本のキラキラポップと呼ばれる、心踊るメロディアスなナンバーを常時40曲揃えプレイリスト化。毎週火曜日更新(Spotifyにて「キラキラポップ」で検索)。

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