ワールドワイドに成功する方法

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vol.38 あなたは情熱家? それとも心配性?

01.常に“仕事”をしてしまう人

 20代の頃、私は仕事づけでした。自営だったので、厳しい上司を喜ばせるために残業することもなく、昼夜を問わず電話をかけてくる顧客などもいませんでした。しかし、オフィスで終日過ごしたあとでも仕事のことが頭を離れなかったので、文字通り仕事だけを大量にしていました。
 友人たちと渋谷などへ食事に行った記憶はありますが、実際は心から楽しんでいませんでした。仕事のことを考えていて、心ここにあらずだったのです。代々木公園で花見をした記憶もありますが、眺めを楽しんではいませんでした。そのときもやはり、頭のなかは仕事だけだったのです。好きなバンドのコンサートやフェスにもたくさん行きました。しかし、音楽に没頭するいっぽうで、私はスマートホンをチェックしたり、メールを返信したりすることを欠かせませんでした。明日のミーティングのために調べていることが気がかりで仕方がなかったのです。そういった場所でも私は“仕事”をしていたのです。
 実のところ、それは私が、自分の20代でもっとも後悔している点です。今、目の前にあることを考えなければいけないというときに、私は“仕事”で多くの時間を無駄にしてしまったのです。
 その当時、“自分は仕事に情熱を傾けているのだから、1日中仕事のことを考えているのは当たり前だ”と正当化して、自分に言い聞かせるのは簡単なことでした。それはある意味、正しいことでもあります。私は仕事に情熱を持っていたのですから。しかし、私をそのように常に思わせていたのは、実は“情熱(passion)”ではなかったのです。それは、“心配(anxiety)”だったのです。

02.“情熱”と“心配”の違い

 では、2つの違いは何なのでしょうか? “情熱”も“心配”も、集中に関係する“感情”です。しかし、その違いは単純です。“情熱”はエネルギーを生み出すのに対して、“心配”はエネルギーを奪うのです。
 情熱があるというのは、たとえば、書きかけの新曲にあまりにも興奮して、新しいフレーズを書くために、駅から自宅まで、文字通りかけ込むようなとき。
 心配があるというのは、たとえば、新曲のことがあまりに気になり、真夜中に目覚めてしまうようなとき。憔悴した状態で目が覚め、前日の夜に書いたフレーズを見直し、あのフレーズのほうが良かったのではないだろうか?とか、全体を仕上げられるだろうか?とか、そんなふうに自問してしまうようなときです。
 ともかく、“情熱”も“心配”も目標に向かうことはできます。しかし、“心配”には通常、目標に向かう道のりを楽しめないという犠牲がともないます。さらには、全体的な生産性も下がってしまいます。
 幸いにして、私は何年も仕事を心配する状態が続いたものの、人生を壊し、治療を必要とするほどの深刻な心配性には至りませんでした。しかし、目の前にあることを楽しむ余裕が奪われたのは確かです。

 バンド活動、音楽キャリア、作曲など、何かに情熱を持つのは素晴らしいことです。プロジェクトが次のステージに移るには、多くの時間、たくさんの幸運、もしくは単純に、たくさんのエネルギーを必要とするでしょう。そこに多くの時間を費やすのに、何も不都合はありません。
 あなたを本当に動かしているものが“心配”なのか“情熱”なのかを知るように努めてみましょう。それが“心配”なら、注意しながら、考えて、心配を軽くする取り組みをしてみましょう。純粋に“情熱”から目標を達成できるなら、あなたはその時点での人生を楽しめるだけでなく、その目標に向かう過程を楽しめ、同時に、それまでの道のりに良い思い出がいくつもできるはずです。

PROFILE

Benny Rubin

Benny Rubinベニー・ルービン

マーケティングおよびセールスの専門家。日本に断続的に10年近く住み仕事をしている。日本の主要なレーベル、映画会社、ブランド、広告代理店と豊富なマーケティングの仕事経験がある。連絡先は、b@bennyrubin.com

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