SPECIAL

2017.01.19

SPECIAL

門池三則

一般社団法人 日本音楽制作者連盟 理事長 門池三則

新年のごあいさつ 〜未来の音楽業界を担うみなさんへ〜
GREETING from FMPJ 2017

一般社団法人 日本音楽制作者連盟

理事長門池三則

リスナーのみなさんの自由な発想が
日本の音楽を世界へとつなげていく

 明けましておめでとうございます。本誌を発行している日本音楽制作者連盟の理事長、門池です。少し遅くなりましたが、新年のごあいさつをさせていただきます。
 音制連は昨年10月に設立30周年を迎え、昨年から今年にかけてアニバーサリーイヤーを過ごすことになります。時代の節目に私たちの歩みを振り返ることにも十分意義があると思いますが、今回は本誌の読者のみなさんへ新年のごあいさつをさせていただく機会だということもあり、未来のお話をしたいと思います。
 近年の若いリスナーのみなさんは、ロックやEDM、アイドルポップスといった音楽ジャンルを問わず、自由に音楽を聴いている方が多いと思います。さらに言えば、映画や舞台、小説やアニメ、漫画など他ジャンルの作品も同時に楽しんでいる方が多いのではないでしょうか。私の若い頃などは、ロックファンはロックを追い続け、映画青年や文学青年はまた違った方向に向かっていたので、ずいぶんと変わってきたなあと考えていました。
 昨年、映画『君の名は。』が社会現象を巻き起こしたとき、改めてそのことを感じました。ご存知の通り、『君の名は。』は映画自体が記録的な興行成績を収めただけではなく、音楽を担当したRADWIMPSのサウンドトラックアルバムも大ヒット。RADWIMPSのメンバーは、脚本の段階から制作に参加し、監督とのコラボレーションによって映画音楽を生み出しました。それに応えるかのように、映画のファンもRADWIMPSというバンドを深く理解してくれて、アルバムのヒットにつながったようです。ああ、こういうヒットの仕方はいいなあと率直に思いました。作品の世界観を完成させるために、ジャンルを越えたアーティストが力を結集し、その結果、映画のファンになったみなさんの興味が音楽にも広がっていったわけですから。『君の名は。』とRADWIMPSの関係は、音楽業界を未来に向けて盛り上げていくためのヒントになると思いました。
 『君の名は。』は日本国内にとどまらず、世界的なヒットになりつつあります。現在、音楽業界でも2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けてインバウンドがテーマになっていますが、海外からのお客様が『君の名は。』をきっかけにして、日本でRADWIMPSのライブを観たいと思うかもしれません。さらにはRADWIMPSから広く日本のバンドに興味が連鎖していき、より多くのライブに足を運んでもらえることにつながり、日本の音楽全体を好きになってもらえるような波及効果も期待できます。もちろん、ほかの映画やアニメでもそういうことは起こり得ますし、日本文化への入口はひとつではありません。レッド・ホット・チリ・ペッパーズのワールドツアーでBABYMETALを知ったヘヴィなロックのファンが、日本でまったく違う音楽に目覚めるかもしれません。ランティスフェスティバルを体験した世界各地のアニソンファンにも、小野リサさんの公演でボサノヴァを初めて知った中国のリスナーにも、同じようなことは起こり得ます。あらゆるジャンルのコンテンツが、日本の音楽を世界のみなさんに知っていただくためのイントロダクションになる。そんな時代がやってくる可能性も出てきました。チャンスさえあれば、必ず大きな成果が生まれます。何より日本にたくさんの素晴らしいアーティストが存在することは間違いないのですから。
 そんな日のために私たちは、海外のお客様にも国内のライブやフェスの情報にアクセスしやすい環境を整えることを目指したいと考えています。さらにはチケットの高額転売が横行するような現状をストップさせなくてはいけないと強く思います。現状のままで2020年を迎えてしまうと、エンタテインメント関連のチケットだけではなく、オリンピックやパラリンピックの観戦チケットを海外のお客様が購入しようとしたら、不正売買のものばかりだったという事態になりかねません。様々なライブエンタテインメントやスポーツの世界で働く人々が力を合わせて、しっかりと世界からの来訪者をお迎えする準備を整えたいところです。
 ここでみなさんにお願いがあります。リスナーとして音楽の聴き方を変えつつあるみなさんに、さらに一歩踏み出していただき、ぜひ音楽業界を目指していただきたいのです。自由な発想でジャンルの壁を越えてきた、みなさんのアイデアと作品に対する深い愛情を、日本の音楽が世界とつながるために役立ててもらいたいのです。この『音楽主義』を手に取っていただいたことがきっかけとなって、アーティストとともに作品を生み出し、彼らが持つ権利を守るために汗をかいてくれる仲間が1人でも増えるようなことがあれば、それだけで本誌が存在する意味があったということになると思います。リスナーだったみなさんが、今度は音楽業界のプレイヤーとなって、エンタテインメントを変えていく日を楽しみにしています。

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