SPECIAL

2016.01.09

SPECIAL

門池三則

一般社団法人 日本音楽制作者連盟 理事長 門池三則

新年のごあいさつ 〜未来の音楽業界を担うみなさんへ〜
GREETING from FMPJ 2016

一般社団法人 日本音楽制作者連盟

理事長門池三則

大変なはずの仕事が喜びに変わる瞬間
「アーティストのパートナー」だから実感できること

 明けましておめでとうございます。本誌を発行している日本音楽制作者連盟の理事長、門池です。年頭にあたって、『音楽主義』の読者のみなさん、そのなかでも特に、音楽好きを自認している若い音楽ファンの方々へ向けて、お話してみたいと思います。
 私たちのことを短い言葉で説明するなら、音楽プロダクションの団体であり、音楽制作者(プロデューサーやマネージャー)の集団であり、著作隣接権団体である―といったいい方になります。もっとわかりやすく、伝わりやすく表現するならば「アーティストのパートナー」ということになります。みなさんが普段、熱心に楽曲を聴いてくださったり、ライブを楽しみにしてくれているアーティストのかたわらにいて、ともに歩み、共通の夢を実現させていくこと。それが私たちの仕事です。というと、とてもカッコ良く感じられるかもしれませんが、ほかの業種と同じように時にはツラく、大変な場面もあります。  

 音楽業界で仕事を始めた頃、私はあるバンドと一緒に行動していました。そのバンドは、ちょうどインディーズからメジャーへと駆け上がっていくタイミングにいましたので、ライブハウスで演奏したり、キャンペーンで各地をまわることが多い時期でした。当時の私の役割のひとつは、ギターやベース、ドラムなどの楽器を運ぶことでした。ご存知の通り、これらの楽器はかなり重いです。にもかかわらず取り扱いには充分な注意が必要です。決して楽な仕事ではありません。それでも私は楽器を運ぶことが、だんだん楽しくなっていきました。もちろん最初はツラいだけでしたが、ライブハウスにだんだんお客さんが増えてきて、会場も渋谷公会堂へ、そして武道館へとどんどん大きくなっていき、キャンペーンで演奏していても通りがかりの人たちが足をとめてくれるようになると、気分が変わっていくのです。曲に耳を傾けるお客さんの反応が日々良くなるにつれて、なんだか一緒に行動している私もワクワクしてきて、率先して楽器を運びたくなってくるのです。
 自分が少しでもアーティストの役に立っているのだという実感。一緒にステップアップしているのだという体感。広く一般的には、これらの感情はわかりにくい面もあると思いますが、音楽ファンには理解してもらえるのではないでしょうか。
 そのうちにメンバーから「カドヤン(私の愛称)、これからも一緒にやってよ」といわれ、本格的にマネージャーへの道を進んでいくことになります。ライブをはじめ、レコーディングや番組出演、メディア取材などアーティストの音楽活動全体にもっと深くかかわっていくことになりますが、このときの気持ちが私の「アーティストのパートナー」としての原点だと思っています。

 音楽業界の仕事には、忙しく、大変だというイメージがあるでしょう。職種にもよりますが、アーティストとともに行動する以上、仕事の現場から離れられない時間が長くなっていく傾向は確かにあります。しかしいっぽうで、その苦労が楽しさや喜び、やりがいに変わる瞬間があることも事実です。
 私の体験談に少しでも共感できる部分を見つけていただけたなら、ぜひ、音楽業界を目指してください。私たちは少しでも多くの若い力が音楽業界に参加してくれることを心から待ち望んでいますし、そのためには『音楽主義』の誌面を通じて、若い音楽ファンの方々との接点を増やしていければと思っています。
 同じ「アーティストのパートナー」として、まだ見ぬ読者のみなさんと一緒に仕事ができる日が来ることを楽しみにしています。

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