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2016.03.09

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INTERVIEW 02 ニッポン放送(FM93/AM1242)松村吉洋さん

INTERVIEW 02 ニッポン放送(FM93/AM1242)松村吉洋さん[株式会社ニッポン放送 常務取締役]

昨年末にワイドFMがスタートし、AMラジオも高音質かつ聴きやすくなった。 ビートたけしなどのビッグスターを輩出してきたニッポン放送だが、 現在も吉田尚記アナウンサーのような新たな時代の寵児を生み出している。

text:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ) photo:岡本麻衣(ODD JOB LTD.)

「ラジオは時代の一番バッター」、
そんな立ち位置でいることが大事ですよね。

災害対策や難聴対策のためにワイドFMがスタートしました

ワイドFM(FM補完放送)が話題となっていますが、ニッポン放送の最新状況を教えてください。

去年の12月7日13時からワイドFMが東京でスタートしました。目的は、災害対策や難聴対策のために、従来のFM放送用の周波数(76.1MHz〜89.9MHz)に加えて新たに割り当てられた周波数(90.1MHz〜95MHz)を用いてAM番組を放送することです。震災を振り返ると、地震が起きたときに被災地ではテレビが観られない状況が続いたことがあって、ラジオが頼りにされたんですね。しかし、ニッポン放送の送信所は木更津の河川敷にありまして、総務省の強靭化計画で、FM化する際にはスカイツリーに送信所を移しました。

河川敷だとリスクがありますよね?

そうなんです。そうした災害対策がまず1点。それと難聴対策ですね。これはみなさんお感じになられたことがあると思うのですが、都心のオフィスなど、ビルのなかですとAMラジオは聴きづらいですよね? この2つの理由からワイドFMはスタートしました。実は12月7日にスタートして、その翌週から聴取率調査がありまして、先日その結果が出たのですが、一気に聴取率が上がったんです。ワイドFMの宣伝キャンペーンをTQL(TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送)と電通でやった効果が表われたのかもしれません。

ラジオを知らない若い世代が、密なトークを楽しめる番組コンテンツがあることを知るきっかけになったのかもしれませんね。

あと、昔よく『オールナイトニッポン』を聴いていたけど、最近はラジオを聴いていなかった中高年、そんな人たちにリーチできた可能性があります。若い世代はラジオを買うというよりスマホが媒体として適してますよね。なのでラジコが向いています。ワイドFM化と両面で、ラジオ番組へ触れるきっかけが高まっているのかもしれません。

パーソナリティとリスナーとの1対1の密な関係性

若年層へ向けた新しい動きとしては、ニッポン放送の吉田尚記アナウンサーをアイコンとしたカルチャーサイト「yoppy」を立ち上げられたことも印象的でした。

我々も力を入れようと思っているんですが、吉田はサブカルの代表格みたいなアナウンサーですね。アニメとアイドルと音楽、落語などに詳しいんです。サイト連携の内容を濃くして、このサイトからいろんな事業を生んでいきたいと思っています。たとえばイベントや出版などへつなげたいですね。

そもそも密なトークで展開されるラジオ番組は、信頼感、そしてコミュニティが生まれやすいメディアですよね。

媒体の持つ特性で、1対1の関係性なんですね。やっぱりラジオって1対多で聴くとか考えにくいじゃないですか? パーソナリティとリスナーとの密な関係性。そのほうがメッセージが伝わりやすいですよね。

「yoppy」のような、新たな市場開拓となる戦略は続いていくのでしょうか?

3月末から、またひとつネット戦略を立ち上げようと思っています。ニッポン放送で取り上げた話題を拡散させたいと思っています。情報拡散することで、一次情報を出したラジオに戻ってきてほしいんですね。ニッポン放送の番組って、いわゆるコンテンツだと思っていて、それをキュレーション化し、もう一回記事にし直して、カテゴリーごとに分けていく。たとえば悩みとか感動とか、いろんな切り口があると思います。ラジオ番組ではこんな面白いことやってるんだということをテキスト記事で知っていただいて、ラジオ番組に返していくようなことを考えています。

コンテンツとしてのあり方が立体化していくイメージですね。では、今後ラジオ業界は、どんな方向を目指されるのでしょうか?

いずれにしても核になるのは番組コンテンツですよね。いくら技術が進歩しても番組の中身が面白くないとダメだと思っています。話題性ある番組を数多く提供していけるかが大事ですね。

今後も、アナウンサーやアーティストなど、カルチャーサイトのアイコンになるような方をニッポン放送としては育てていきたい考えがあるのでしょうか?

たとえば、かつて『オールナイトニッポン』からビートたけしさんや中島みゆきさんが注目されたことがありました。ニッポン放送からテレビ番組へパーソナリティを輩出していた時代もあったんですね。誤解を恐れずに言えば、ラジオはメジャーな媒体になる必要はないと思っています。「ラジオは時代の一番バッター」と誰かが言っていたけど、そんな立ち位置でいることが大事ですよね。

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