ワールドワイドに成功する方法

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vol.32 戻ることが前進のための唯一の方法のときもある

私が追求してきたものほぼすべてにおいて、もうこれ以上は上達しないだろうと感じるときがやってきました。これはよく“プラトー(一時的な停滞状態)”と呼ばれています。これ以上ないほど一生懸命努力しても、なぜかあまり上達しない、またはまったく上達しない。ここまでなのか? これが限界なのか? あなたが絶頂期を超えたランナーでないかぎり、たいてい答えは「ノー」です。あなたは、ただプラトーに突き当たっただけなのです。
たいていの場合、このプラトーを乗り越える方法は、さらに厳しく努力したり練習したりすることではなく、基本に戻ることです。別の言い方をすれば、戻ることが前進する唯一の方法というときもあります。

私が日本語学校に入ったとき、私たちは「は」と「が」のもっとも簡単な使い方と、場面に応じた「おはようございます」といった、あいさつから始めました。私が通った学校は初心者向けではなく、上級日本語学習向けで、生徒の多くはハーバードやイェールといった大学の卒業生でした。この学校に来る前に日本語を数年間勉強していた人も多くいました。ある生徒たちにとっては、この“はるか昔に立ち返る”ということは大変不満なことでした。「これはもう5年前に習った! また習う必要はない!」。彼らの多くはそう反抗しました。
私たちの先生は、前進する唯一の方法は“まず戻ること”だと知っていました。そして、私たち全員が基礎に重大な弱点を抱えていることがすぐに明らかになりました。
たとえば、多くの生徒が基本的な自己紹介シナリオで、「〇〇大学を卒業しました」と正しく言えず 「〇〇大学から卒業しました」と言ってしまう間違いを犯しました。
日本語を第二言語として話す人にとってはちょっとした間違いですが、しかしこれは重大な間違いです。この間違いを明らかにすることで、先生は基礎的な間違いを正し、生徒に「から」と「を」の使い方を理解させることができました。
別の例をあげると、「こんにちは」の使い方。先生は、私たちが「こんにちは」を頻繁に誤用していたことを指摘しました。
自分のオフィスに入り同僚にあいさつするとき、「こんにちは」はまず使いません。むしろそれはあなたのオフィスを訪ねてくる外部の人が使うものです。たとえば、宅配便。宅配の人が荷物を届けに来たとき、スタッフに気づいてもらうために「こんにちは」と言いますが、部長がオフィスに出社するときには「おはようございます」と言うのがより自然です。
そんな危うい基礎のうえに上級語学力を築こうとしていることを想像してみてください!

私はバークリー音楽大学でエレキベースを学んでいた2年目に、まったく同じような体験をしました。当時の私の個別講師は、アンソニー・ビッティという素晴らしいファンクベース奏者でしたが、彼は私のタイム感が要求されるほど確かなものではないと指摘しました。これを私に証明するために、彼はメトロノームが「1、2、3、4」と一定のペースで鳴るようにセットし、それに合わせて私に簡単なグルーヴを演奏させました。約1分後に彼は2番目と4番目のビートを取り除き「1、-、3、-」とし、私が頼りにできるメトロノームの音を少なくしました。その1分後には、彼は3番目のビートを取り除き「1、-、-、-」としました。さらに1分後、彼はメトロノームの音を完全に消して、私にタイミングをキープするように指示しました。その約10秒後にメトロノームの音量を戻しました。案の定、私はまったくタイミングをキープできていなかった。私の演奏はまったくメトロノームと合わせ続けられていなかったのです。彼は自分の主張を証明しました。私の「タイム感」は、要求されるほど確かなものではなかったのです。

こうして私は、何度も何度も基本に立ち返ることが次のレベルに進むための唯一の方法だということに気づかされました。もし自分がプラトーにいるとわかったら、初歩に返ることを考えてみてください。それが、あなたが素早く上達するためのチケットなのかもしれません。

PROFILE

Benny Rubin

Benny Rubin ベニー・ルービン

東京在住のWEBプロモーター/コンサルタント。邦楽・洋楽問わず多種多様なジャンルの音楽、レーベルを手掛け、様々な仕事をしている。連絡はb@bennyrubin.comまで。

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