ライブハウス店長インタビュー

vol.47 LOFT HEAVEN 加藤梅造さん

vol.47 LOFT HEAVEN 加藤梅造さん

完全着席制のサロン型ライブハウスとして、もともと青い部屋、ラストワルツがあった場所に昨年7月にオープンした、ロフトグループ9つめのライブハウス。その立ち上げに関わったロフトグループ加藤社長に、同店のこだわりについてお聞きした。

text:吉田幸司 photo:佐々木康太(Iris.)

着席制のライブハウスなので、大人が楽しめる空間だと思います。
かといって懐古主義な店にはしたくなかった。

ライブハウス自由空間だ! タブーはない、と(笑)

もともとロフトプラスワンの常連客だったのが、平野現会長に呼ばれてロフトの冊子『Rooftop』の編集長になったそうですね。

そうなんです。当時はほかの会社で働いていたんですけど、急にやれって言われて(笑)。

そして大企業を退社してロフトにバイトで入り、その2ヶ月後にロフトプラスワンの3代目店長に。当時はどんな志をお持ちでした?

志? もう日々を過ごすだけで精一杯だったんで(笑)。特にトークライブハウスがまだ今みたいに全然一般的じゃなくて、ロフトが変なことやってるぐらいにしか思われてなかったんですよね。とにかくブッキングが埋まらないんで、もう必死で埋めてました。とにかく何でも。当時はプラスワンに平野が毎日いたんです。ずーっと。だからまあ、洗脳されたようなもんですよね(笑)。ライブハウスとは?みたいな。

“ロフトイズム”を叩き込まれて。

ライブハウスは自由空間だ!みたいな。タブーはない、めちゃくちゃやれと(笑)。

プラスワン以降はどんな遍歴を?

ずっとプラスワンにいたんですけど、そのあとプラスワンみたいなトークライブハウスを次々とオープンしたんです。Naked Loft、阿佐ヶ谷ロフトA、大阪にプラスワンWestを出して、渋谷にLOFT9を出して。そのたびに立ち上げをやっていたんです。で、去年、久々に音楽のライブハウスのLOFT HEAVENを立ち上げたって感じですね。

昔の荻窪ロフトにはピアノがあった ので、その雰囲気も出せるかなと

ロフトグループ9個目のライブハウスですね。どんなライブハウスにしたいと?

しばらくトークライブハウスの出店が続いていたので、今度は音楽のライブハウスを作りたいなと、去年の4月にロフトプロジェクトの社長になったときに思ったんですね。で、いろいろ探していて。ピアノ音楽が好きなのでグランドピアノがあるといいなとか、着席の店がいいなとか、なんとなくそんなことを思っていたら、たまたまここの前の店だったラストワルツの立ち上げに関わった人が、知り合いだったんです。久々に連絡して「ラストワルツを譲ってもらえませんか?」ってダメもとで聞いてみたら、「ちょっとオーナーに話してみるね」となって。それから自分の想いをあれこれ伝えてお願いしたら「じゃあ、ロフトさんやってください」って。まさか本当に譲ってもらえるとは思ってなかったので、これはもうやるしかないと(笑)。

あははは!

ここが以前、青い部屋だったっていうのはもちろん知ってました。もともとシャンソンバーだったのが90年代後半ぐらいからオルタナ寄りのライブハウスになって、ラストワルツになってからは早川義夫さんとかも出てたので、僕もときどき来ていました。だからすごく気になっていて、なんとなくこの場所には変な磁場があるなと思ってたんです(笑)。異次元空間みたいな。70年代の青い部屋の頃は三島由紀夫とか川端康成が来ていたらしいんですけど、ここを潜ると、この空間から黄泉の国につながって三島由紀夫に会えたりできるかもしれない(笑)。そういう気配をちょっと感じる…気のせいだと思うんですけど(笑)。

要するにロフトイズムは引き継ぎつつ、青い部屋からの流れも合わせてできたと。

それはありました。青い部屋とは直接関係ないんですけど、そういう文化遺産を勝手に受け継ごうと(笑)。あと、昔の荻窪ロフトにはピアノがあったんですよ。坂本龍一さんや山下洋輔さんなどがよく出ていた頃。そういう70年代のロフトの雰囲気も再び出せるかなと思って。

LOFT HEAVEN 加藤梅造さん

「HEAVEN」という曲には 名曲が多いんです

店名をLOFT HEAVENにしたのは?

店名をどうするかはずっと迷っていました。改装前の2ヶ月ぐらいプレオープンしてたんですが、そのときは「LAST WALTZ in LOFT」って名前にしてたんです。それをやりながらずっと考えてたんですね、LOFT9があるからLOFT10かなとか。ちょうどその頃にGO-BANG’Sの森若香織さんが出たときがあって「いい名前ないですかねえ?」って相談したんです。そしたら「LOFT HEAVENはどう?」って。彼女の代表曲に「HEAVEN」って曲があるんですけど、あ、いい名前だなと。「HEAVEN」という名前の曲はほかにもトーキング・ヘッズや浜崎あゆみとかいろいろあるんですが、どれも名曲なんです。

LOFT HEAVENならではの特色というと、どんなところですか?

椅子とテーブルのある着席制のライブハウスなので、大人が楽しめる空間というところだと思います。かといって懐古主義な店にはしたくなかったので、内装もちょっとこう…。

あ、ロフトっぽくないですよね(笑)。

よく言われます(笑)。もともと照明のオペレーティングをされているデザイナーの遠藤治郎さんに設計してもらいました。イメージはオーロラですね。あと、やっぱり青い部屋へのオマージュもあって、内装は青を基調にしたかったんです。海みたいな。で、カウンターと床を木にしたのは船のイメージなんです。

上品な感じですよね、ロフトの店舗のなかで一番(笑)。

オープニング期間中に出てくれた森若香織さんやキノコホテルのマリアンヌ東雲さん、アーバンギャルドの浜崎容子さんが「ここは女子が来やすい」って褒めてくれて、この3人が言うなら間違いないと、ほっとしました(笑)。

新しい才能にどんどんここから 巣立っていってほしいですね

話はちょっと変わりますけど、最近、全国各地でライブハウスが次々とできている印象があります。

不思議ですよね。だってたいして儲からないですよ? 儲かるんだったらわかるけど、なんでわざわざライブハウスなんか作るんでしょうね(笑)。

だからなぜなのか、よけい不思議なんですよ(笑)。

うちの平野もそうですけど、みんな音楽が好きだからライブハウスをやってるわけで、儲かるからとは思ってないんじゃないですか、たぶん(笑)。そういう人が今たくさんいるっていう状況は、素晴らしいことですよね。

音楽が好きというのを第一にやってるわけですからね。ご自分も大企業から転職したわけですけど、きっと後悔してないですよね、これだけ長くやられているということは。

と思います、たぶん(笑)。

では、最後に今後の展開や夢などをお聞かせください。

ライブハウスってやっぱり新しい才能に出会うところだと思うので、そういう才能にどんどんここから巣立っていってほしいっていうだけですね。ロフトプラスワンの最初のころも、ほとんど無名の人しか出てなかったし。そういう人がどんどんビッグになっていく、それを僕も見たいし、お客さんにも見てほしいっていう。そういう才能に初めて出会うのって、ライブハウスならではですよね。“俺が最初に見つけた!”みたいな。

LOFT HEAVEN

LOFT HEAVEN

東京都渋谷区渋谷2-12-13 八千代ビルB1F
03-6427-4651

もともとは伝統のあるシャンソンバー「青い部屋」があり、その後ライブハウス「ラストワルツ」になった場所に、2018年7月14日にオープン。キャパは、完全着席制で100人。

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