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2018.01.18

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株式会社ランティス代表取締役社長 井上俊次さん

アニメやゲームとの連動でヒットを

井上俊次さん 株式会社ランティス代表取締役社長

ロックバンドLAZYのキーボーディストでもある 井上社長は、アニソン業界で爆発的なヒットを 飛ばす音楽プロデューサー。とはいえ、あの『ラブライブ!』にしても、 ヒットするのに何年もかかったという。 成功の影には努力と忍耐あり、そんなことを教えてくださった。

text:阿刀“DA”大志 photo:岡本麻衣(ODD JOB LTD.)

「ヒットしたときに後悔するような音楽を作るな」と。
その人が一生歌っていく可能性があるわけですし。

粘り強く取り組んだ曲が受け入れられていることが多い

御社所属アーティストの2017年の活動を振り返ってみていかがですか?

一昨年ぐらいから振り返ってみると、ランティスで一番ヒットした『ラブライブ!』という音楽アニメのように、これまでは男性向けの作品が多かったんですけど、今年は『アイドルマスター SideM』や『アイドリッシュセブン』といった女性向けの作品が充実していて、男性のお客さまと女性のお客さまの割合が初めて半分になったんじゃないかなと。考えてみれば、うちは社員も半分以上が女性だし、そういう人たちが考えたり作ったりしたものが企画や作品に反映されるようになったと思います。

ヒットを生むために必要な考え方は?

社員には、「ヒットしたときに後悔するような音楽を作るな」と言ってます。世の中でたくさん流れて、その歌い手さんが一生歌っていく可能性があるわけですし。

そういう考え方に至ったのは、社長ご自身がミュージシャンだということも大きいんでしょうか?

どうなんでしょうかね。ただ、CDって今はなかなか売れないし、シングルがたくさんヒットしてもそんなにたいしたことない。特にアーティスト印税をもらってるアーティストにとってはまったくたいしたことがない。だから、ライブにお客さんが来るようなアーティストを育てたほうがいいよという話はよくしてますね。ランティスももうちょっとで設立20周年になりますし、そろそろ今いる社員にちゃんと伝えていかなきゃいけない時期なのかなと思ってます。

どういうことを伝えたいですか?

「もっともっと冒険をしなさい」ということです。これまでのランティスのヒット曲を振り返ってみても、困難にぶち当たったり、粘り強く取り組んだ曲がお客さんに受け入れられていることが多いんですよ。逆に、すんなりできたものはすんなりレベルの作品になってるような気がします。なので、ちょっと問題が起こったりしたときには、逆に担当した人たちは「よし、ラッキー! これはヒットの可能性がある!」って思ったほうがいいんじゃないですかね。『ラブライブ!』も5年なり10年なりの積み重ねの末にやっと見つけ出した宝物だと思うんです。

最近のヒット曲で思い浮かぶものは?

乃木坂46さんの動きはすごいですね。CDだけじゃなく、写真集もヒットして。音楽だけじゃない輝きを放つようなプロデュースをしているんだなという気はします。

「売上や利益よりもファンの人たちに愛される曲を作ろう」と

今の時代にどうやったらヒット曲を生み出すことができるんでしょうか。

ランティスの場合は扱っているものが主にアニメやゲーム作品なんで、音楽と親和性の高い企画をたくさん話し合っています。

音楽にとどまらない展開を、と。

できるだけ音楽で引っ張っていきたいんですけどね。

以前、CMのタイアップがもてはやされた時代があったと思うんですけど、CM発のヒット曲って最近は少ないですよね。

昔は、化粧品のCMだったらその商品のキャッチと曲の歌詞が一緒だったり、そういうことが多かったですよね。

そう言われてみると、アニメの場合は作品の世界観に合った曲が多いですね。

ランティスはそうですね。そこを重視してアーティストを選んでます。

CMでもアニメでも、両者がガッチリとタッグを組んだうえで作品作りに取り組むとよりいいものが生まれると。

ヒットするかどうかはわからないけど、納得のいくものができるんじゃないかな。うちは「売上や利益を第一目標にはしない」ということを社員に言い切っています。「それよりもファンの人たちに愛される曲やライブを作ろう」と。今、アニメの劇伴は1クールの作品で40〜50曲作るんですけど、オーケストラを入れたりすると1千万円を超える予算がかかるんですよ。でも、それはアニメの音楽を作っている会社の義務だと思うんです。

どれだけ赤字になっても。

そうですね。さらに、うちはそれを必ず発売します。イニシャルが100枚なんてこともザラだけど、そこは外せない。いつまで続けられるかはわからないですけど、CDになることを喜ばれるファンや作家さんもいらっしゃるし、そこからまた新しい作家が生まれたり、もしくは優秀な方がアニメに集まってくるということもあると思うんです。

profile

1960年生まれ。LAZY、ネバーランドのキーボーディストとして活躍後、1999年にランティスを設立。LAZYデビュー40周年記念シングル「Slow and Steady」発売中。

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