音楽にまつわる「ちょっといい話」

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第31回 Zepp福岡復活とZeppアジア進出[Zeppホールネットワーク]

今回のゲスト

今回のゲスト

森 健司さん

(株式会社 Zeppホールネットワーク ホール運営事業部 部長)
1962年、愛知県生まれ。CBS・ソニーグループ(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)入社後は、新人開発・発掘、レーベルの宣伝、マネージャー、A&Rなどを経て、2009年に株式会社ホールネットワーク(現Zeppホールネットワーク)に異動。Zepp仙台、Zepp大阪、Zeppなんば大阪、Zeppダイバーシティ東京の支配人を歴任。現在は、ホール運営事業部の部長として、全ゼップの統括やホールの新規開発などに従事。

 相変わらずコンサート会場不足が叫ばれるなか、現在国内で6店舗を運営するZeppホールネットワークが朗報を次々と送り出している。昨年はZepp福岡の復活(2018年秋開店予定)を発表し、今年に入ってからは、2月にZepp大阪ベイサイドが開店、3月には横浜にできる新ホールの運営(2020年春開店予定)を、そして4月にはゼップ初の海外進出となるシンガポールでの共同運営(6月4日にグランドオープン済み)をまず発表し、畳みかけるように、さらにクアラルンプール(2020年末開店予定)と台北(2020年4月開店予定)にも進出することが発表された。

今後もゼップの役目を果たせるエリアに進出する考えはあります

 2016年5月に閉店したZepp福岡が、もともとあった場所に2018年秋にできる新施設、MARK IS 福岡ももちで再オープンすることが、昨年10月に発表された。そして、今年3月には横浜みなとみらい21地区にできる複合施設にコーエーテクモゲームスが所得するライブハウス型ホール「KT Zepp横浜(仮称)」が2020年にオープンすることも発表された。

まずはZepp福岡の復活の経緯から教えていただけますか

もともとあったホークスタウンモールのすべての施設をリニューアルする際にZepp福岡も一度営業終了しましたが、再開発を行う三菱地所さんが次の新しいモール、MARK IS 福岡ももちを建設するにあたって、私どもに再出店のお話をいただいたということですね。

再開は2018年秋の予定だそうですが、どんなライブハウスを目指します?

基本的には“Zepp福岡復活”という名の通り、ゼップらしい、ゼップならではのホールになると思いますが、やはり引き続きみなさんにご利用いただけるように、地元に密着した様々な催事も取り入れていきたいと思っています。

2020年春には横浜にもできることが発表されました。こちらの経緯は?

こちらは私どもが運営を受託するという初めてのケースなんです。みなとみらいにできる複合施設には、コーエーテクモゲームスさんの本社オフィス、あとホテルも入るんですが、そこにコーエーテクモゲームスさんがホールを持つということで、一緒にやりませんかというお話をいただきまして、設計段階からコーエーテクモゲームスさんと共同で計画を進めました。ゼップの舞台機構やゼップで使用している最新鋭の音響や照明設備などが入りますから、ゼップ仕様のホールがコーエーテクモゲームスさんの箱に入るというようなことになりますね。

今後も国内に増やしていく予定も?

ゼップは、ライブハウスから武道館やアリーナに行く、そのちょうど通過点になるような箱じゃないですか。私どもが担う役目というのはすごくあると思うんです。だから、そういうことができるようなエリアに進出するという考えはありますね。ありがたいことにいろいろなところからご一緒できませんかみたいなお話もいただいていますので、いいお話が成立するのであれば、ぜひやっていきたいと思っています。

アジアにも箱をいくつか作ることで、ネットワーク作りを

Zeppホールネットワークは、4月に、初の海外進出を果たすことを相次いで発表した。6月4日にグランドオープンしたZepp@BIGBOX Singaporeに続き、2020年にはマレーシアのクアラルンプールと台湾の台北にもゼップができることが発表された。

4月3日にはシンガポールへの進出をまず発表されましたが、こちらは6月4日にグランドオープンという、ものすごい急展開でしたね。

そののちに大きな発表がありますけど、アジア進出というのはもともとずっと考えていまして。ただ、なかなか場所が見つからず、話を始めてもまとまらないというのが続いていたんです。そんななか、“まずは始めよう”というのが先になって、もともとある施設にうちが機材を入れる形でシンガポールで急きょオープンすることになったんですね。だからゼップという名前がついた初の海外のホールとはなるんですけど、単独での事業ではなく、ビックボックスという会社と一緒にやるジョイントベンチャーなんです。機材関係はうちのほうで全部入れて、ゼップらしく作ってるんですが、会場自体が展示場みたいなところなんですね。なので、大きな施設のなかに常設ステージを作ったみたいな形で進めたので、すごく早くスタートすることができたんです。

アジア進出のトライアル的なところも?

といいますか、このあとに台湾、クアラルンプールと続きますが、日本でもZepp名古屋ができたことが大きな転機となったんですね。東名阪ツアーができるので。

点と点が線になったという。

そうです。もともとのゼップ大阪は中心地から離れたところにあったんですけど、名古屋ができたことによって稼働率がすごく上がったという事実がありまして。同様に、アジアもシンガポールでスタートして、台湾、クアラルンプールと箱をいくつか作っていくことで、ネットワークができていくんじゃないかと思っています。

国内のゼップツアーというのは今やステイタスになっていますけど、さらに進んで、ゼップアジアツアーというのも可能になるわけですね。

まさにそうですね。

こちらはクールジャパン機構と連動していることからも、日本のバンドの輸出の手助けというのが目的ですか?

あと、逆もそうです。向こうの人たちに来てもらうというのも。

海外のバンドが日本のゼップも含めてゼップアジアツアーをやったり。

はい、そういうことも含め、いろいろな展開を考えていこうと思っています。

シンガポールのグランドオープンとなったRADWIMPSのライブはどうでした?

シンガポールにバンドワゴンという音楽系のサイト(https://www.bandwagon.asia)があるんですけど、ここにレポートが出てまして…(サイトを見せていただく)。

うわ、デカいし、超満員ですね!

ここは2,333キャパなんですが、シンガポールって何平米に何人みたいな考え方らしくて。座っても2,333、立っても2,333なんですが、本当に超満員でしたね。で、MCで野田さんが、自分の普段の言語は?みたいな質問をしたときに、日本語、中国語、英語が3分の1ずつだったんです。だから、日本から行かれた方や現地の日本人の方も来ていると思いますけど、シンガポールの方たちがちゃんと来てくれてるんだなと思って。RADWIMPSの人気のすごさを改めて感じましたね。

幸先のいいスタートになりましたね。

おかげさまで。ただ、本当にプレスリリースしたあたりがスタートですから、まだまだブッキングもこれからなんです。小さなクラブと1万人の大きなホールはあっても、真ん中がまったくないような都市ですので、これからそこをどうみなさまにご利用していただくのか、しっかりと考えていかなければいけないと思っています。

そして2020年にはクアラルンプールと台湾でも開店予定です。こちらはゼップとして、イチから作っていくんですか?

はい。こちらもビルトインになるんですけど、中身に関してはうちの上司が“リアルゼップ”と言ってるぐらいで(笑)。

今後はさらに、欧米や中南米にも?

いや、そこはどうでしょう、まずはアジアできちんと広げてからだと思いますね。

みんなで一丸となってアーティストの成長の場にしていきたい

最後に、ライブハウスシーンの今後についてお聞きした。すると、なによりアーティストのために、という答えが返ってきた。

今後、ライブハウスシーンはどうなっていくといいと思っていますか?

才能を発掘して世に送り出していく場であったり、いわゆるライブハウスならではの箱がいくつかあって、そこからバトンを受けて、さらにもっと上に上げられるような箱がゼップなのかなと思っていて。ライブハウスシーン全体でそういう流れが今、いい感じでできている気がしますので、そこをさらに強くしてやっていきたいと思っています。今ちょうど、1,000キャパ超の箱の方々が集まって、定期的に意見交換会をやっているんですよ。敵対関係ではなく、みんなで一丸となってライブハウスが担うべき役割みたいなことを考えていけたら、みたいなことをやっているんです。

横のつながりですね。

はい。意見交換しつつ、それぞれのホールのいいところ、持ち味みたいなところをうまく使ってもらって、アーティストの成長の場になっていけばいいなと思いますね。

ライブデビューからビッグサクセスまでの道のりにおいて、キャパ1,800〜2,800のゼップクラスの大型ライブハウスが各所にネットワークとして存在する意義は、とても大きいはず。そして、今回のアジア進出を機に、ゼップが日本と世界をつなぐ架け橋にもなってくれることを期待したい。

text:吉田幸司

Zepp@BIGBOX Singapore

Zepp@BIGBOX Singapore

ZeppホールネットワークとシンガポールのBig Box社は、シンガポールに合弁会社「Zepp @ Big Box Pte. Ltd.」を設立し、シンガポールのジュロン・イースト地区にある複合商業施設BIG BOXの3階展示場の「MEGA BOX Event Hall A」を新装し、ライブホール「Zepp@BIGBOX Singa pore」を共同運営、6月4日にグランドオープンした。キャパは2,333人(隣接するホールBとの併用で最大4,032人を収容可能)。グランドオープンは、日本のRADWIMPSが飾った。

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