ライブハウス店長インタビュー

vol.39 新宿LOFT 大塚智昭さん

vol.39 新宿LOFT 大塚智昭さん

2016年10月1日でオープン40周年を迎えた新宿ロフト。30周年のときに店長になって10年、大塚店長が見た2016年、そして2017年とは? 山下達郎と上原ひろみの40周年アニバーサリーライブの裏側で起こったほほえましいエピソードも!

text:吉田幸司 photo:岡本麻衣(ODD JOB LTD.)

自慢がひとつあって、うちで働いてたスタッフって今、
音楽業界のあちこちにいて、みんな評判がいいんですよ。

山下達郎さんのライブが平野会長の都合で延期に

新宿ロフトは2016年10月1日に40周年を迎え、9〜11月に40本の自主企画シリーズライブをやったり、O-EAST、中野サンプラザ、川崎チッタで大きなイベントをやったり、盛大なアニバーサリーになりました。そんななかでも特にびっくりしたのが、何と言っても山下達郎さんのロフト2デイズです。

はい。あれは、当時のロフトといえばということで、その40連発のところでぜひ呼びたいっていうのがあったので、うちの会長の平野に手紙を書いてもらったんです。

手紙なんですね、メールじゃなくて。

そうなんです。手紙をご本人に届くように送ったところ、そういうことであればと、すごく快く受けてくださって。で、何回かスケジュール調整を重ねて、あの10月の3〜4日に落ち着いたってところですね。

話はわりとスムーズに進んでいったんですか?

いや、すごくおもしろいのが、実は7月に一回決まりかけたんです。だけどうちの平野が旅好きで、ちょうど世界一周してるところで。達郎さんとうちのスケジュールは取れてたんですけど、悠さん(平野)がいないのは良くないなって、延期になったんです(笑)。

平野会長の都合で(笑)。

そうです。よっぽど帰ってきてもらおうかと思ったんですけど(笑)。

ロフトらしいエピソードです(笑)。シーナ&ロケッツやTH eROCKERSらが出た中野サンプラザでのイベントも、ロフトならではの濃いラインナップでしたね。

もちろん自信を持ったラインナップだったんですけど、集客の面でどうなるかちょっと不安だったんです。でも相乗効果があったのか、予想以上のリアクションで。あの歳の方々にすごいパワーを感じましたね。

上原ひろみさんのグランドピアノが入らないってなって

大塚さんは、ロフトが小滝橋から今の歌舞伎町に移ったときにバイトで入られたんですよね。

そうです。だから小滝橋のロフトを知らないんですよ。1999年の4月24日にこっちがグランドオープンで、自分は8月に入ったので。俺、ことあるたびに言ってるんですけど、Hi-STANDARDの“MAKING THE ROAD”ツアーの初日がロフトで、そのチケットが取れなかったから履歴書を出したんです。なので、はじめは本当ミーハーな気持ちでやってましたけどね(笑)。

そこから、10年前の30周年のときに店長になりました。店長のこだわりとして変化したことは何かありますか?

最近は意識して、違うライブハウスによく行くようにしてますね。で、そこのバーテンの人とか店長さんと話したり。

それは横のつながりのために?

いや、単純に経済をまわしたいなと思って。俺、ライブを見に行ったら、そこにいるお客さんのなかで一番飲んでやろうと思ってて。それに、店をやってる側として追加オーダーが出ることほどうれしいことはないんですよ。あ、本当に今日良かったんだなと思うんで。

ロフトグループとしては、ロフトプラスワンもできたし多様化してきてますよね。

いや、多様化はもともとしていて。昔から、社員のこれがやりたいっていう気持ちを大事にして、具現化させてくれるっていうところは変わってないですね。どうしてもこれがやりたいんだって言ったら、異業種でもやらせてくれると思います。洋服屋さんがやりたいんだって言ったら、ちゃんとやりたいならいいよって言ってくれると思います。

逆に、一番変わったと思うことは?

社員が増えましたね(笑)。バイトも含めたら200人くらいいるんじゃないかな。

ロフトって、なんか「におい」みたいなのがありますよね。

あ、40周年の話になりますけど、上原ひろみさんが、EXシアターのスタンディングライブをロフト40周年名義でやってくれたんですよ。もともとは40連発ライブに上原ひろみさんをどうしても入れたくて調整してたんですけど、どうあがいても、上原さんが弾くグランドピアノが入らないってなって。

あははは! そういうシンプルな問題で断念せざるを得なかったという(笑)。

そうなんです。本人もやりたいって言ってくれてたんですよ。なぜかというと、「ここにはなんかにおいがあるから」って言ってて。歴代のすごいミュージシャンたちの魂がこもってるにおいがするから私もやりたい、みたいなことを言ったんですよね。

新宿LOFT 大塚智昭さん

一般層に受け入れられるような店にしたいですね

それもすごいエピソードですね。2017年はどんなことにこだわっていきたいと?

毎年そうなんですけど、来年こそ一般層に受け入れられるような店にしたいですね。なんかいい感じじゃんって思われる店にしたい。それはロック好きの人だけじゃなくて、できるだけ世間一般の人に受け入れられる店にしたいんですよ。で、人と人をつなげられるようにしていきたい。だから、間口をまず広げて、広げたあとに、そのなかにいる人たちをつなげるような場所にしたいですね。

具体的には何をしていこうと?

いや、トイレとか、いろんなものを直していこうかなと思って(笑)。

ライブハウスは怖い場所っていうイメージはまだあるんですかね?

ライブハウスより、俺が思うに“歌舞伎町怖い”は感じますね。ライブハウスにはもうそんなに偏見はないというか、一般的なサービス業レベルではあると思うんで。しいて言うなら、今のデフレのなかで居酒屋よりも高い。飲みものが。でもメインのお客さんはどちらかと言うとお金を持っていない層なので、そのせめぎ合いが難しいですね。

そもそも富裕層向けではないのに、居酒屋よりも高いお酒を出しているという。

そう。だから、そのためにはいいスタッフであったり、いい場所であったり、プラスアルファで何ができるのかを考えないと。自慢がひとつあって、うちで働いてたスタッフって今、音楽業界のあちこちにいて、みんな評判がいいんですよ。そういう人を育てられたと思うので、お客さんもそうなっていくようなコミュニティ作りをしたいですね。

怖いよねっていう空気感が嫌で。歌舞伎町を音楽で良くしたい

41年目となる2017年の動きはどうですか? もう50周年に向けて動いていたり?

10年後ですよね、45才か…居酒屋とかやりたいっすね(笑)。

“居酒屋ロフト”を。

そう。あ、自分30才になってから歌舞伎町の町内会に入ってるんですよ。やっぱり歌舞伎町怖いよねっていう空気感がすごい嫌で。で、どうやったらこの町を盛り上げられるかっていうので、たまたま鉄板焼き屋のオーナーがうちのDJだったりしたんで、その人が音頭とって“CONNECT歌舞伎町MUSIC FESTIVAL”っていうイベントを2年前にやったんですけど、それをまた4月23日にやります。メインテーマは歌舞伎町を音楽で町おこしするっていう。歌舞伎町を音楽で良くしたい。歌舞伎町ってアジア1の繁華街だと思うんです。そこで音楽の一翼を担えるんであれば、そんなにうれしいことはないなと思うんで、やれることをやっていきたいです。

新宿LOFT

新宿LOFT

東京都新宿区歌舞伎町1-12-9 タテハナビルB2
03-5272-0382

キャパは550人。“ロッキンコミュニケーション”をスローガンに、バーステージ、バーラウンジも併設し、ライブ後は出演者やお客さん同士が交流できるようにもなっている。

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