特集記事

2016.07.12

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MINAMI WHEEL 林田淳一さん

interview MINAMI WHEEL 林田淳一さん
FM802 編成部

1999年にスタートした日本を代表するサーキットイベントが、大阪で毎年10月に行われている“MINAMI WHEEL”、通称ミナホだ。音楽好きに愛されているFM局の802が主催し、各地のサーキットのスタイルのお手本にもなっている。担当者の林田さんに話を聞いた。

text:金本夕貴(TRYOUT) photo:吉川寿博(TRYOUT)

街をあげて、お祭り感を演出することで、
大阪の魅力を伝えることができると思います。

SXSWに感動し、“日本で、それも大阪でこれをやろう!”と

まず最初に、“MINAMI WHEEL”をスタートしたきっかけを教えてください。

“MINAMI WHEEL” は1999年にスタートし、今年で開催18回目を迎えようとしています。私が携わるようになったのは2010年からなので、立ち上げのきっかけは当時のスタッフから聞いた話になりますが…毎年3月に米テキサス州オースティンで行われている“SXSW(サウスバイサウスウエスト)”という、音楽、映画、インタラクティブを一度に楽しむフェスティバルに行ったのがきっかけです。ライブサーキットというスタイルを初めて体験し、その面白さや会場の盛り上がりに感動し、“日本で、それも大阪でこれをやろう!”と、現在も一緒に運営事務局で携わってもらっているイベンターさんに相談しました。開催するためには、徒歩で移動できる近い範囲内に会場となるライブハウスが複数あることが必須条件で、心斎橋やアメ村にはライブハウスが多く密集しているので、場所は決定しました。そのあとは直接ライブハウスへ足を運んで、企画を説明して、日程を押さえて…って、ほとんど思い付きと勢いだけでスタートしたので、こんなふうに何年も続くイベントに成長するとはまったく考えていなかったみたいです(笑)。

立ち上げるときに難しかったことは何でしたか?

特別難しかったことや困ったことはなかったと聞いています。ラジオ局が大規模な音楽イベントを立ち上げるというのは、当時では少し無謀にも聞こえることでしたが、“例外がないからダメ”ではなく、“面白いことはどんどんやっていこうよ!”という社風や姿勢が功を奏しました。だって“SXSWが面白かったから大阪でやろうよ!”と言い出すなんて、イベント会社でもなければ、規模も違うのに無茶でしょう(笑)? でも“だから無理やで”と言う人はいなくて、“無茶っぽいし、よくわからんけどええやん! 面白そう!”という感じで駆け出しました。ただ、実際に観に行った人以外はサーキットイベントがどんな仕組みなのか具体的には知らなかったので、出演者やスタッフ、お客さんも“サーキットイベントって何やねん!?”と疑問だらけでした。どんなことにも共通して言えることですが、はじめは手探りの状態で、サーキットの魅力を理解してもらうことには苦労しました。

裏方でも多くの出会いがあり、新たな活動につながっている

林田さんが考えるライブサーキットの魅力とは何ですか?

人との出会い、これにつきると思います。400組以上の出演者がいますので、お客さんが出会ったことのないアーティストに出会えることはもちろん、アーティスト同士やライブハウス関係者、イベンター会社など、裏方でも多くの出会いがあります。それがきっかけとなって、新たな活動につながっているのを見るとうれしいですね。また、会場となるライブハウスはチケットを持った人しか入れないクローズな空間ですが、移動する街中はパスを持っていない人たちもいる、オープンな空間です。だからサーキットイベントというスタイルは、街全体を盛り上げるポテンシャルを秘めていると思うんです。

街全体を盛り上げるポテンシャル、ですか?

はい。ライブを楽しんでいるお客さんやアーティストが街中を歩きますよね。すると街中にいるイベントのことを知らない人たちにもその熱気が伝わって、“何があるんだろう”と、興味を持ってもらえるきっかけになったり。それも新たな出会いだと思います。初めてのライブハウスへ行くことや、大阪という街との出会いなど、参加した人が何かひとつでも新しいものや人と出会えるイベントだと思います。街をあげて、お客さんやアーティストに対するウェルカム感、わかりやすく言えばお祭り感を演出することで、大阪の魅力を伝えることができるし、この街を面白がってもらえれば、また訪れてもらえるきっかけにもなるんじゃないかと思っています。

参加した人が何かひとつでも
新しいものや人と出会えるのが魅力だと思います。

南エリアは大阪のなかでも特にカルチャーを発信している場所

サーキットイベントのなかでも、“MINAMI WHEEL”ならではの面白さというとどんなところでしょう?

心斎橋やアメ村の南エリアって、大阪のなかでも特にカルチャーを発信している場所です。だから面白いことにもどんどん挑戦できる機会があると思います。たとえば会場となっているライブハウスが、それぞれ独自に“MINAMI WHEEL”の開催前後の日程で、サーキットの興奮や余韻を楽しめるエディションイベントを行ってくれています。なかには、終電で帰れなくなった人や、遠方から来たけど宿が取れなかったという人に向けて、寝る場所を提供するために朝まで開放して、ただひたすらに寝るだけの企画があったり。

ユニークですね!

そうなんです! エリア内の飲食店では、自主的に“MINAMI WHEEL”のビジュアルTシャツを着用してくれたり、パスを持っている人を対象にしたサービスを行うなど、いい意味でイベントに乗っかって盛り上げてくれています。街の雰囲気も寛大で、アーティストが会場前でチラシや音源を配ったり、看板を掲げたり、仮装をしたり、自由にお客さんを楽しませようとしてくれている様子は、大阪らしくて面白いなと思います。よくよく見ると、出ていないアーティストが混ざっていることも(笑)。

こんな自由なイベントって、なかなかないですよね。

自由だからこそ、アーティストに関してはお客さんをどう楽しませるか、というプレゼンの場でもあると考えています。アーティストにただステージに出るだけじゃなく、イベントを一緒に作ってもらいたいという思いがあるからです。プロもアマも含む大勢のアーティストがいて、なかには自分たちだけではここまでの集客力がないアーティストもたくさんいます。彼らにとってはこのイベントに参加することで、多くのお客さんに観て知ってもらえる絶好のチャンスになります。みんながもっとイベントが楽しくなるような仕掛けをどんどん発信していってくれたら最高ですね。他力本願のようにも聞こえますが(笑)。

今年の目標は“去年よりも盛り上がるものにする”

開催にあたって心掛けていることというと何でしょう?

カラーは決めないと言いましたが、ショーケースイベントなので、その年の音楽シーンの特色が出せればいいなと思っています。“MINAMI WHEEL”のイベントの特徴のひとつに、複数のイベンター会社に運営事務局として直接かかわってもらっているということがあります。全国でもあまりこういった事例はありません。一番のメリットは、アーティスト選考の際に、直接イベンター会社やライブハウスからアーティストの情報を収集できることですね。昨年の参加応募総数は約1,200組でした。1,200組ものアーティストの仮スケジュールを持っているのも、おことわりをするのも、すごくプレッシャーがかかる仕事ですが、最新のアーティスト情報を入手できるというのは非常にありがたく、心強いです。

ラジオ局が音楽イベントを主催する意義についてはどう考えられていますか?

全国でサーキットイベントが増えているなかで、ラジオ局が主催することの意義というと、放送とイベントがリンクしていることです。番組内で曲をかけるとか、イベントパンフレットを作ってきちんとアーティスト紹介を載せるとか。そういった発信ツールを使わないと、ラジオ局が主催する意味がないですよね。アーティストの応援ができる体制を整えて、活動の幅が広がれば理想的だなと思います。その結果が、今後のイベントを盛り上げるということにもつながるので。

では最後に、“MINAMI WHEEL”が今後目指していることを教えてください。

お祭りのようなスタイルで街全体を盛り上げていきたいです。たとえばイベントの中心となるパス交換所の周囲を歩行者天国にして、縁日のような雰囲気作るとか。まだまだイメージなんですけどね。今年の目標は“去年よりも盛り上がるものにする”。常に過去を超えていけるイベントを目指してがんばります。

MINAMI WHEEL 2016

FM802 MINAMI WHEEL 2016

10月8日(土)〜10日(月・祝)
※大阪ミナミ地区のライブハウスやクラブなど20ヶ所で開催予定

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