名物プロデューサー列伝

2016.05.13

INTERVIEW

名物プロデューサー列伝

株式会社スターダストプロモーション 芸能3部 マネージャー 藤井ユーイチさん

vol.67 株式会社スターダストプロモーション 芸能3部 マネージャー 藤井ユーイチさん

“永遠に中学生”をコンセプトに2009年にスタートした、「エビ中」こと私立恵比寿中学。その“校長先生”としてもファンの間で知られる藤井さんは、肩書きこそマネージャーだが、プロデューサー的な役割も担っている存在。楽曲を含め、数々の面白い仕掛けや試みで評判の“藤井校長”に話を聞いた。

text:阿刀“DA”大志 photo:内海裕之

正解がないんだったら、自分たちが
面白いと思うことをやっていけばいいんだと。

プロデューサーではなくマネージャー

藤井さんの肩書きはマネージャーですけど、やってることはプロデューサーに近いですよね。

プロデューサーほどプロデュースしてるかどうかはわからないですけど。各メンバーと対峙してそれぞれに合った方向性を示したり、適材適所に人材をはめていくという仕事をしているので、確かに近いものはありますけど、自分としてはあくまでもマネージャーという感覚です。

そもそもどういった経緯でスターダストに入社されたんですか?

大学卒業後、ヒロ・プロダクションという柳沢慎吾や飯島直子がいた会社に入って、白石美帆の現場を担当していたんですけど、ご縁があってスターダストに移ってきました。なので、その頃は女優仕事しか知らなかったんですけど、入社してから最初に任されたのが営業で。

そうだったんですね。

しかも、こういう大きい会社で営業をしていると、たとえ仕事を持ってきたとしても、当時はほかの社員が僕のことを全然知らないから、「お前が何者かわからないから、その案件が良いか悪いかわからない」ってなるんですよ。そりゃそうですよね。それでなかなかうまくいかなかったりもしたんですけど、ある日、エビ中を担当していたマネージャーがほかのタレントの仕事で大阪に1年間行くことになってしまって。それで2010年2月ぐらいから僕が代わりに担当することになったんですけど、当時はアイドルのことなんて全然知らなかったから「え?」って。でも、僕は一度やるとなったら自分がその仕事に向いてようが向いてまいがそのなかに楽しみを見つけるのが得意なので、そのうちどっぷりつかっていきましたね。アイドルのことも勉強してだいぶ詳しくなったし、ももクロの現場を手伝っていくうちにノウハウも蓄積されて。

まさにDIYだった初期のエビ中

当時のスターダストにはももクロしかアイドルがいませんでしたよね。

そうですね。うちの会社にはモデルさんや女優さんになりたい子しかいなかったんですよ。だけど、オーディションに受からないと何も始まらないし、彼女たちにとっては人前に出ることが一番のトレーニングなんです。なので、そんな子たちを集めてレッスンの一環として始めたのがエビ中だったんです。でも、グループの活動が軌道に乗ってくるにつれてこっちもだんだん本気になってきて、メンバーとの間に気持ちのズレが生まれて、そのすり合わせが最初はしんどかったですね。

エビ中をどういうグループにしたいと思っていたんですか?

今でこそ、メンバー1人1人やりたい仕事がやれるぐらいの力がつけばいいと思ってますけど、最初の頃は全体のことしか考えられませんでした。

大変だったでしょうね。

当時は2週間に1回のペースでイベントを打っていたので、それに合わせてレッスンのスケジュールを組んだり、その頃はイベンターもついてなかったので、自分で会場を探してPAや照明を手配したり、そういう作業が大変でしたね。しかも、チケット会社も通してないから、自分で東急ハンズでチケット用の紙を買ってきて作ったり、自分たちでイベントタイトルを決めたり。会社のほかのスタッフにお願いして手伝ってもらうこともありました。

考え方が変わってきたのは?

2011年にリリースした「オーマイゴースト??わたしが悪霊になっても?」というシングルが面白すぎて、もっと好き勝手にやっていいんだっていうことがそこからわかってきましたね。どうせ誰も見てないし(笑)、正解がないんだったら、自分たちが面白いと思うことをやっていけばいいんだと。だからその頃は、どれぐらいふざけるかっていうことばかり考えてました。

“校長先生”として矢面に

藤井さんが面白いのは、裏方でありながらファンの前に姿を現すところだと思うんです。「スタッフの顔が見えたほうがいい」というのが理由のひとつだそうですが。

自分が出ていけばメンバーに文句がいかないと思ったんです。「あいつが裏で糸を引いてるんだろう。一番悪いのはあいつだ!」ってお客さんに思ってもらうために出ていったところはあります。でも、ボロクソに言われましたよ。「メンバーしか立つことができない神聖なステージになんでお前がいるんだ」って。

今では“エビ中職員会議”と題して、エビ中スタッフ主催のトークイベントを不定期開催してます。

こういうふうに仕事の話をするのは楽しくて好きなんですけど、なかなかそういう機会ってないんですよ。だから、お客さんと酒を飲みながらざっくばらんに質問を受け付ける場を作ったんです。たまに自分が気づかなかったような指摘もあったりするんですよね。

僕も何度か足を運んでますけど、どんな質問に対しても真摯に回答されますよね。

「なんで運営がこういうやり方をするのか」っていうことをお客さんになかなか理解してもらえないことがあるんですよ。だから、「これはこういう理由なんだよ」っていうことをとことん話して納得してもらえるほうがいいだろうと。

なるほど。

こういうことも含めて、僕が一番大事にしてるのはお客さんに楽しんでもらうっていうことなんです。お客さんあっての仕事なので、そこは大事にしてますね。

株式会社スターダストプロモーション 芸能3部 マネージャー 藤井ユーイチさん

僕はドライに管理をするほうだと思ってますけど、1年中エビ中のことしか考えてないんですよね。

プロデュース面でのこだわり

では、エビ中をプロデュースするうえでのこだわりは?

“メンバー第一”ですね。メンバーの“今”と“未来”…どちらかと言うと“未来”のことを考えて、プラスだと思うことをやる。グループとしては“今”が大事なんですが。

メンバー全員10代の女の子ということで気を使う部分も多いと思います。心掛けていることはありますか?

僕はウェットなマネージャーじゃなくて、ドライに管理をするほうだと思ってて。だから、「きみと僕はフィフティフィフティなんだよ」っていうことをよくメンバーにも言ってるんですよ。メンバーに寄りすぎちゃうとダメだと思うんですよね。

ウェットではないとおっしゃいますけど、エビ中のドキュメンタリー作品を観ている限り、メンバーの間に入って話をまとめたり、“校長先生”的な部分が多々見受けられますが。

何か問題が起きて、メンバー同士ではなかなか解決できないときにちょっと手を貸すことはあります。でもそれは、みんなの仲の良さが現場に跳ね返ってくる部分が大きいからなんですよね。2010年頃だったらそんなことは絶対にしなかったけど、今はメンバーも成長しているし、みんなと話をして納得してやってもらうほうが早いと思うんですよ…さっき、ウェットじゃないとは言いましたけど、僕、1年中エビ中のことしか考えてないんですよね(笑)。

エビ中の今後

今年でハタチを迎えるメンバーがいたり、各メンバーのグループに対する思い入れや向上心が強くなったり、グループ内で様々な変化が起こっているように見えます。そんな状況に合わせて藤井さんのやり方も変わってくるんでしょうか?

エビ中を続けていくうちに自我も芽生えるし、大人になれば好みも変わりますよね。なので、変化しながらいい形を追求していければいいと思ってます。

今後のエビ中の目標は?

1人や2人だけでなく、メンバー全員のキャラクターを広く認知してもらって、頂上に近いところまで目指していきたいですね。ドームツアーとかやってみたいです。

では、藤井さん個人の目標は?

僕が正しいと信じているマネージメント理論がたくさんあるので、それをこれからも追求して、結果で証明していきたいですね。あとは、エビ中の下部組織として「桜エビ?ず」を作ったんですよ。そのメンバーをもっと増やして永遠に続くグループを作りたいです。

PROFILE

株式会社スターダストプロモーション 芸能3部 マネージャー 藤井ユーイチさん

藤井ユーイチ

1979年、東京都生まれ。女優系プロダクションを経て、2007年1月にスターダストプロモーションに入社。2010年2月より、同社所属のももいろクローバー(現〜Z)の妹分的存在としてスタートした私立恵比寿中学のマネージャーを担当、同時に“校長先生”として課外活動的な仕掛けも自ら行っている。また、昨年末から私立恵比寿中学の研究生ユニットとして「桜エビ〜ず」も手掛けている。