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2016.03.09

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INTERVIEW 03 JFN 小川 聡さん

INTERVIEW 03 JFN 小川 聡さん[株式会社ジャパン・エフエム・ネットワーク 取締役、事業開発・経営企画担当]

全国FM38局からなるJFN(ジャパン・エフエム・ネットワーク)。 インターネットを活用したプロジェクト、JFNならではのインターネットインバウンド事業についてなどをお聞きした。

text:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ) photo:岡本麻衣(ODD JOB LTD.)

時間と空間の気持ち良さ。少し贅沢な体験にこそ
ラジオというメディアの魅力があると思っています。

ラジオも楽しみ方の再構築と再提案が必要

JFN(ジャパン・エフエム・ネットワーク)の活動について教えてください。

JFNは全国38のFM局のネットワークですが、株式会社ジャパン・エフエム・ネットワークはTOKYO FMをはじめとする38局で設立した会社で、主に各局への番組供給(制作)と営業を行うネットワークのハブとなる組織です。

ラジオ業界の最近の動きとしては、AM局ではワイドFMが始まりましたが、FMからは新しい放送サービス「i-dio」が始まりました(3月1日より開始)。

FM放送が始まって半世紀近くになります。ネットの時代になった後半の20数年、TOKYO FMとJFNは放送とインターネットの関係性について様々な取り組みを行ってきました。i-dioはまさにそのひとつですが、ここ10数年、通信との融合とか連携とかいろいろ言われてきました。少なくともFM放送に関して言えば、これから第5世代、第6世代とますます進化するというインターネット、スマートフォンの時代に、メディアとして、事業としてどうやって一番いい形で合流していくか、その最適解を探す時代のまっただなかにいるんじゃないかと思います。2009年から各権利者のみなさまにご協力いただきラジオのサイマル配信を開始しましたが、インターネットにラジオ放送が乗りました、で、「次はどうする?」、そんな宿題の日々がまだ何年かは続いていくんでしょうね。いずれ答えが出る日が来るとは思いますが。

JFNとしては、ラジオ業界の課題である若者対策をいかがお考えですか?

ラジオの聴き方自体を知らない、聴いたことがないという若者が出てきたいっぽう、彼らの間でアナログレコードやカセットテープなどがブームになっている。ラジオも楽しみ方の再構築、そして再提案が必要だと思っています。今、改めて力を入れなければならないのは、いかにラジオや番組への接点を、インターネットコンテンツのディスプレイのなかに置くか、スマートフォンユーザーの通り道にラジオや番組への入口をどう設置するかということだと思います。そこで、JFNではこの春、ホームページの大規模な改編を行い、スマートフォンユーザーに絞り込んだコミュニケーションプラットフォーム「JFN Park」をJFN38局と連携して立ち上げます。

なるほど、それは期待が高まります。

余談ですが、FM局の経験で言いますと、ラジオの魅力の本質は、番組自体が持つ情報性やトークの面白さ、選曲の良さもさることながら、突き詰めるとラジオを聴いて過ごす時間と空間の気持ち良さということにつきるんじゃないかと思います。情報過多でなにかと忙しい日常において、ラジオ独特の音空間、音像空間のなかで時間を過ごす、また、誰か(出演者や見知らぬ聴取者)と時間を共有するということも含めて、少し贅沢な体験にこそラジオというメディアの魅力があると思っています。そういう体験を好ましく感じてくれる良質なリスナーとの出会い、時にはスポンサーさんも呼んでくれるありがたい聴取者とのおつきあいは、私にかぎらず多くの制作者が体験してきたことです。そのぶん制作者はそういう音像空間に見合うクオリティの番組を作らなければならない、ワイドFMのスタートもひとつのきっかけに、もう一度襟を正そうという気分がJFNの制作現場にあります。

ネット動画を使った事業を各局と連携して育てています

JFNとしての新しい動きなども教えてください。

ラジオ番組ではないのですが、新しい動きとしてネット動画を使った事業を各局と連携して育てています。日本にやってくる外国人は年間2,000万人。最近“インバウンド”って言葉をよく耳にしますが、JFNでは日本で活動する中国人映像プロデューサー、クリエーター、しかもしっかりとした映像制作の教育を受けた、いわゆるYouTuber的な制作者20人ほどと契約し、ネット動画番組の配信事業を行っています。中国人はITリテラシーが日本よりも総じて高く、スマホやSNSを年齢問わず日常的に使いこなします。そこでJFNは訪日予定の中国人に向け中国本土の大手動画サイト、検索サイト上で(中国ではYouTubeやGoogleが使えない)日本国内メーカーや自治体をスポンサーに、その商品・最新情報を動画とSNS等で発信しています。今年度すでに日本企業65社から提供をいただいてます。自国語で、中国人のメディア接触習慣や感性を知りつくした中国人が出演も制作も、拡散作業も担当し、時にはクライアントへのプレゼンにも参加します。「JFN asia」というブランドで各局と連携してセールスを推進しています。やはり、中国は市場規模が大きいですからそのぶん反響も大きく楽しみな事業です。今後はほかのエリアに向けた事業としても拡大しようと思っています。

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