名物プロデューサー列伝

2016.03.09

INTERVIEW

名物プロデューサー列伝

株式会社UK.PROJECT 株式会社UKPM 千田一騎さん

vol.66 株式会社UK.PROJECT
株式会社UKPM 千田一騎さん

UK.PROJECTのレーベルRX-RECORDSを統率し、マネージメントを手掛けるUKPMでも数々のバンドのチーフマネージャーを務めている千田さん。以前いたSEPでの経験も活かし、文字通り360度の音楽ビジネスを実践している。育成のこだわりから、[Alexandros]の展望までお聞きした。

text:吉田幸司 photo:岡本麻衣(ODD JOB LTD.)

精神管理、健康管理、ビジネス管理。
マネージメントの3つの柱として永遠のテーマです。

SEPからUKPへ

以前は音楽映像制作会社のSEPにいらっしゃったそうですね。

はい。SEPでスペースシャワーの番組を制作してました。SEPも楽しかったんですけど、ミュージシャンともっと近いところで一緒に仕事がしたいなと思って。レーベルもやりたいし、プロダクション業務もやりたいし、今で言う360度みたいなことをやりたいと思ったんです。それが2002年ぐらい。物販からライブからレコードからマネージメントから、アウトソーシングしないで自分たちで全部やるみたいな。それでUK.PROJECTに移って、2005年にレーベルを作らせてもらったっていう流れですね。新人開発および、それをレーベルにしていくっていう。手探り状態でしたけど。

それまでのSEPでの経験が活かされた部分はありますか?

自分が見つけてきたバンドのほとんどはプロモーションビデオを僕が作ってました。バンドの見せたい方向性が、一回監督さんを介すとちょっとずれたりもするじゃないですか。あとバジェット的にもディレクター費がかからないっていうところで。チェックもいちいちどこかに行くんじゃなくて、僕の家でもできるし、直したいっていったらパッて直せるじゃないですか。一番は予算の問題かもしれないですけどね。新人でいきなりうん百万とかかけられないって部分で。で、知り合いのカメラマンとかに直接お願いして、安くやっていただいたりしてました。

レーベルとしてのこだわり

当初はどんなレーベルにしたいとイメージしていました?

メジャーをはねのけるような、みたいなことは思ってましたね。

メジャーを凌駕するインディーズ。

そうです。すごくなんだろう、卑屈なんでしょうかね(笑)。メジャーに負けないレーベルを作るってことは思ってました。

レーベルとして転機になったことは?

やっぱりマネージメントを始めたことかなって思います。BIGMAMAが売れてきて、物販も売れる、ライブも即完しちゃうって状況になったときに遠藤(UK.PROJECT社長)に相談して。基本的にマネージメントはやりたくないっていう会社だったと思うんですよ。たぶん。だから僕、説得したおぼえがあるので。で、UKPMっていう会社をそこで立ち上げるんですよね。

BIGMAMAのために?

ちょうどthe telephonesが売れてきたのも同じ時期だったので、じゃあ作っちゃおうかみたいなノリでした。さっきも言ったように、もともと360度がやりたいっていう意識があったので、物販もライブもツアーもやっていくっていうところで会社に提案して、やらさせてもらった感じですね。

マネージメントとしてのこだわり

マネージメントとしての当初のこだわりというと、どんなところでした?

これは中井さん(現スペースシャワーネットワーク相談役/ヒップランドミュージック会長)の受け売りなんですけど、SEPをやめるときに、これだけはおぼえとけっていう3つの話をされたんです。ひとつが精神管理、ひとつが健康管理、もうひとつがビジネス管理。単純な発想なんですけど、ただ、一番難しい。精神管理は先を見越してのケアだったり。健康管理は、ちゃんとしておかないとツアーが飛んだりってことにもなりかねない。で、お金の管理。メンバーにちゃんとお金を返してあげて、会社にも残してっていう部分をしっかり忘れないでやれっていうことを言っていただいて。2002年にやめたんでもう13年以上経ちましたけど、今でも忘れずにマネージメントにおいての3つの柱として僕の永遠のテーマになっています。会社で部下にも言いますからね(笑)。

マネージメントとしての転機は?

武道館を最初にやったときですかね。

2014年に[Alexandros]で。

そうです。名前が変わることをそこで発表したんですけども、採算がどうだとか演出がどうだとか、未知の世界だったんで。それはいい勉強になりましたね。で、そのうえで去年は幕張でやったんですけど、そこは別に何にも。何と言うか、どんとこい!な感じで(笑)。武道館のほうが緊張感あったっていうか。

それ、みなさんよく言いますよね。

武道館はバンドも含めて、すごく緊張感を持ってやれたんです。初めてのことだらけだったので。それが転機だったのかな。

株式会社UK.PROJECT 株式会社UKPM 千田一騎さん

バンドを信じること。彼らの目標を具現化する部分に徹したところが良かったのかなって。

大事なのはバンドを信じること

今振り返ると、[Alexandros]の成功の要因は何だったと思います?

[Alexandros]はまだ過程の段階だって本人たちも言ってるんでまだまだ目指すところはさらに上だと思うんですけれど、バンドを信じることかなと思っていて。バンドがやりたいこと、バンドが向かっていくことを信じて、それを具現化したいっていう部分に徹したところ それが要因かどうかはわからないですけど。でもまあ、ちょっと外したら軌道修正はしないといけないと思うんですけど、彼らの目標を具現化してあげようって努力したところが良かったのかなって。

その武道館のタイミングでの改名についてはどう思いました?

それまでMステに出たりとかいい感じで広がっていたのに、名前が変わったらまたゼロからか…みたいな部分はあったんですけど、メンバーもスタッフも割り切っていこうとなりましたね。

そこもきっと、さっきの“信じる”というのにつながることなんでしょうね。

はい。やってる音楽性とか考え方とかは変わらないので。そこは開き直った部分はありますね。

そして、2回目の武道館や先日の幕張では余裕すら感じられた。それは上のフェーズに入った証拠だと思います。今思う新人発掘のポイントというと?

やっぱりちゃんと目標を掲げられているバンドというか、こういうふうになりたいとかそういう意志を持ってるバンドとやりたいですね。ふわふわ楽しいからやってるみたいなのだと、どこかで行き詰まると思うんですよ、売れたとしても。

今後の目標と野望

では、今後の目標や、さらにその先の野望を教えてください。

CDのフィジカルをもうちょっと信じてやっていきたいですね。全部は信じてないんですけど(笑)。シングルは宣伝材料みたいな空気感の時代になってきてるんですけども、シングルも売れるような形に挑戦したいっていうのはありますね。

要するに、ライブもしっかりやりつつ、フィジカルもフィジカルでしっかりやっていきたいと。そこはやっぱり、レーベルが根本にある、というのもあるんでしょうね。

かもしれないですね。まあ、時代に反しているのかもしれないですけど。ただ、それはサブスクだったりを否定しているわけではなく。そこともちゃんとおつきあいしながらフィジカルを売っていきたいですね。

さらにその先の野望というと?

[Alexandros]に関しては、最初にライブハウスで観てこのバンドは売れると思ったときに、「きみたちは何をしたいの?」って話したら、グラストンベリーのヘッドライナーをやりたいって言ってたんです。まだ3〜4人しかお客さんがいないときに。それができるようなところに向かうっていうのはひとつの野望だったりします。

カッコいいです。

なんか、僕はバカにしなかったんですよね。そんなの無理だろうって言う音楽業界の人はいっぱいいたらしくて。でも、いけそうな感じというか、むしろ今までなんでお前たち埋もれてたの?って思ったぐらいだったので。英語もしゃべれるし、意識が世界だったんですよね。当時から世界一になりたいって公言していて。とにかくナンバーワンになりたいっていうのは今でもメンバー4人とも言ってます。それを信じて、それに近づけるように、そして成就するようにしたいなっていうのは思ってます。

PROFILE

株式会社UK.PROJECT 株式会社UKPM 千田一騎さん

千田一騎

1973年、東京都生まれ。中央大学卒業後、音楽映像制作会社SEPを経て、2002年にUK.PROJECTに入社。2005年にRX-RECORDSを設立し、レーベルプロデューサー兼A&R兼ディレクターとして数々のバンドを世に送り出す。2008年にスタートしたマネージメント会社UKPMでは現在、BIGMAMA、[Alexandros] 、TOTALFAT、asobius、Cettia、 SPiCYSOLなどのチーフマネージャーも担当している。

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